[2010/10/28] 2008年に発生したリーマンショック以降、世界的な経済危機が続いているが、2010年に在中米国商工会議所が米国系企業を対象に行った調査結果によると、中国では、経済危機直後の2009年にも黒字計上をした企業が70%を超えており、多くの米国系企業が今後とも中国における投資を増加させると見られている。
このような外資系企業の中国への投資意欲に対して、中国も積極的な投資誘致を展開している。例えば、中国におけるIT産業の進化は著しく、特に重慶市での成長は同市の経済成長に大きく貢献していが、これにはヒューレット・パッカード社の誘致の成功が影響している。というのも、ヒューレット・パッカード社の誘致が成功したことにより、同じくIT系企業であるシスコ社も重慶に進出するなど、相乗効果を生んでいる。従来、重慶市は、中国内陸部に位置する中国有数の工業都市として知られていたが、現在はITハードウェア産業都市としても注目されている。
他方、中国政府による中国で開発された商品等のみが優遇される「自主開発政策」、知的財産に関する問題、更には西部大開発戦略による沿海部での人件費の高騰が見られるなど、中国における投資環境の悪化も懸念されている。また税制においても、世界金融危機以降の輸出企業のダメージ抑制を目的として、複数回にわたり税金還付率の引き上げが行われたが、今後も引き上げと引き下げが繰り返されるなど、不安定な状況が続く可能性がある。
さらに、2010年に入り、中国で自動車を製造する日系企業の系列会社にて相次ぐストライキが起きた。5月中旬にはホンダの系列子会、6月にはトヨタの系列部品メーカーの従業員がストライキにより賃上げを要求し、労働側の条件を受け入れている。日系自動車メーカー以外の工場等でも賃上げを目的としたストライキが発生しており、中国の製造業では安価な人材の確保が難しくなっていると言われている。さらに、中国政府は外資系企業におけるストライキは容認する方向を示しており、今後は投資のリスク要因になりかねない。
これまでは、世界の工場として発展を見せた中国であるが、今後どのようにシフトしていくのか注目される。
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