南インドの産業集積状況と制約要因

  ~ 南インドの産業集積状況と制約要因  ~

[2011/07/04]    
現在、チェンナイやバンガロールを中心とする南インド地域は投資対象として、デリーなどの北インド以上に注目されており、今後も高い成長が見込まれる。その一方で、制約要因も指摘されているところ、本レポートでは、南インドにおける産業集積状況制約要因を分析する。

南インドの特徴

南インドでは、自動車産業(生産高は全国の約25%、部品は同35%)やソフトウェア産業、及びIT関連サービスが集積している。また外資系メーカーが幅広く展開していることも、南インド経済の特徴の一つである。例えば、国産メーカーであるマルチスズキの拠点が北インド中心であるのに対して、南インドでは、ルノー・日産連合、三菱自動車、フォード、現代自動車、BMWといった自動車メーカーが集積している。
南インドにおける学術レベルは高く、世界的な理工大学であるインド工科大学を始めマドラス大学、アンナー大学、スリ・ラマチャンドラ医科大学といった多数の高等教育機関が存在し、学術界と産業界の連携も進んでいる。他にも、インド統計研究所や、インディラ・ガンジー原子力研究センター、アジア文化研究所といった国立研究機関や、マイクロソフトやAT&Tといった大手外資系会社も研究所を南インド設立しており、活発な研究活動が行われている。

制約要因

南インドは、北インドと比較して労働賃金が低く、日本企業にとって魅力的な投資対象ではあるが、その一方で、電力、通信回線、公共交通といった分野におけるインフラの整備が、製造業の急速な拡大に追い付いていないという現状がある。特に通信回線の不備が顕著であるが、ただ、インドでは総額6,000億Rs(約1兆920億円)の「国家ブロードバンド計画」が開始されることにより、500人以上のすべての集落に、オープンアクセスの光ファイバ・ネットワークを提供される見込みであることから、今後は通信インフラの整備が進むと見られる。
現在、南インドには約50の工業用地があるが、どれも南部主要都市から一定の距離があり、外国からの投資を難しくしている。チェンナイから一番近い用地までは130キロもあり、また新しい近郊工業団地として注目されているマイソールも、バンガロールから150キロ離れている。これらの地理的要因を解決するためにも、更なるインフラ整備が今後の南インドの発展において重要なポイントとなるだろう。

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