[2009/06/15] 近年、主要先進国政府機関等において様々な不祥事・問題点が顕在化しており、統合的な内部統制のガイドライン整備が必要とされている。本レポートは、米国と英国における、政府機関等への内部統制の状況と両国会計検査院における内部統制への対応の検査上の位置づけについて簡単に取りまとめている。
米国政府の内部統制の基準は、統制環境、リスク評価、統制活動、情報・伝達、監視であり、内部統制とは、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、適用可能な法規の準拠性の目的を達成することについて、合理的保証を与える組織経営上の不可欠な構成要素であると定義している。その仕組は、予算執行段階において各執行機関の長が、会計検査院長が定めた基準に基づいて、内部統制システムを整備し、行政管理予算庁長官が会計検査院長と協議のうえ策定した指針に基づいてその有効性の評価と報告し、監査・報告の段階では各執行機関の財務諸表を連邦会計基準諮問委員会によって策定された会計基準に基づいて首席財務官が作成し、会計検査院によって策定された監査基準に基づいて監察総監が監査したうえで当該執行機関の長に報告し、当該執行機関の長がこれを議会に報告する、というものである。連邦政府の監査基準自体が、米国会計士協会が作成した民間の監査基準に原則準拠しているため官民での内部統制システムの違いは少ない。米国での政府機関等への内部統制のガイドラインは1999年にGAO Standard for Internal Controlとして制定された。
英国政府の内部統制の基本方針は、単なる不正やミスの防止が目的ではなく、質が高く費用の少ない公共サービス提供の実現、ということである。財務大臣から任命される会計官が、予算・決算その他の組織運営上の責任を負っており、省庁の政策、目的、目標の達成のために、健全な内部統制システムを維持する役割を担っている。会計官は、内部統制システムの有効性を定期的にレビューし、内部統制報告書(SIC: Statement on Internal Control)を作成し、署名することが義務付けられている。内部統制報告書は、決算書類としての「資源会計報告書」の一部として、会計検査院を通じて、議会に提出される。会計官は、これに関して、議会(下院・会計委員会)で証言する義務を負う。会計官は、財務の適正性の確保、慎重かつ経済的な経営、無駄の排除、資源の効率的かつ有効な活用に資するよう行動することが求められる。英国においても民間と公共で同じ内部統制のフレームワークを使用している。英国の政府機関等への内部統制ガイドラインは、1997年に財務省通達「コーポレートガバナンス:内部財務統制システム報告書」により内部統制に関する報告書の作成を義務付けが制定された。
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