[2009/06/16] 日本のODA総額は年々減少傾向にあり、1993年~2000年にかけて世界第1位であったが、2007年には米国(約218億ドル)、ドイツ(約123億ドル)、英国(約99億ドル)、フランス(約99億ドル)に抜かれ世界第5位(約77億ドル)まで低迷している。日本以外の他国でODA実績が伸びた原因としては、2000年9月に国連で採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の2015年までの具体的目標などに追随し先進各国(日本以外)のODA実績は2.2~2.9倍になったこと、さらには、2001年9月の米国での同時多発テロ以降、「貧困はテロの温床」という認識の下、ODA予算が大きく増加したことなどによる。その一方、日本では財政構造改革の基、橋本政権下でODA予算にシーリングがかかり、小泉政権下で毎年3~5%削減されていった。
2000年にMDGsで提唱された「貧困削減」に加え、アフリカ大陸への関心の高まり、途上国でのインフラ需要の伸び、BRICsなど新興援助国の参入、などの要因から、官民連携による「経済成長」「インフラ」を重視する傾向が見受けられている。外務省では、平成20年度の重要項目として、1)途上国の経済成長と我が国の経済的繁栄を促進する、2)人間の安全保障の観点からミレニアム開発目標の実現に向けた途上国の取り組みを支援する、の2点を挙げ、さらに、2008年1月に「国際協力に関する有識者会議」中間報告を発表、4月には「成長加速化のための官民パートナーシップ」を策定し、官民連携の重要性を強調している。
主要ODA関連国際機関は途上国の持続的な経済発展のために官民連携を重要な要素と位置づけ様々な活動を長期にわたって実施している。国連開発計画(UNDP)では、貧困削減のためには貧困層に益するグローバリゼーション、民間セクター開発が重要であるとし、国際金融公社(IFC)及び国際協力銀行(JBIC)は、融資などを通じて途上国の持続可能な経済発展を支援することを目的とする途上国銀行資本増強ファンドを設立する基本合意に達し、アジア開発銀行では、その基本的方針として貧困撲滅は、活気があり、健全でかつ信頼しうる民間セクターがキーであるとの認識を持ち、民間セクターへのファイナンスを最重要課題としている。
官民連携プログラムの課題としては、一私企業の利益誘導ではなく、それを通じて途上国の雇用の促進や経済発展に確実に、しかも長期的に寄与していけるような優良案件の発掘手法、さらに長期的な運用面での民間企業とODA予算の配分及び実行運用上の連携手法、経済的な状況変化による民間企業の事業関与への変化への対応手法、事業評価の手法など、実行面での課題は多い。
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