航空機産業のIT進化:サプライチェーンシステムと機体健康モニター

運輸・輸送機器分野  ~ 航空機産業のIT進化:サプライチェーンシステムと機体健康モニター  ~

[2009/06/17]    航空機、その構成品は、数百万点の部品から構成され、これを機体システムとして統合し、多数の旅客を安全かつ効率的に輸送しようとする民生機器の技術的頂点に立つものである。しかも、ライフサイクルが20年以上と長い一方、販売製品の絶対数が少なく、投資を回収し事業として収益を得るに至るまでの期間も非常に長いという特徴を有する産業である。

エアラインには「安全運行、顧客満足アップ」の課題と「合理化」の相反する課題があるが、これを達成するには、航空機メーカー、部品メーカー、整備(MRO)部門の連携の連携が重要である。

特に、航空機メーカーは連携のコアとして、情報提供、部品のスムーズな供給、教育サポートなどにおいて役割が大きい。

世界2大航空機メーカーではIT技術を駆使して、

  • (1) 部品や機体構造情報のデジタル化、インターネットでの閲覧システム
  • (2) 各部品のリアルタイムモニターシステム
    • ・ Boeing社・・・AHM (Airplane Health Management Service)
    • ・ Airbus・・・HHM (Aircraft Health Monitoring & Management System)

などのシステムを構築している。
これらのシステムによりエアライン整備部門/MRO(Maintenance Repair Overhaul)会社は、インターネットで各機体の整備/部品ニーズを知ることができると同時に、この「リアルタイムの情報収集」と「過去蓄積データデース」を付き合わせることで予防的なメンテナンスプログラムを組むことを可能としている(最新機種)。 

一方、エアラインは、エアライン整備会社航空機メーカー/部品会社を結ぶ巨大なサプライチェーンシステムを構築しており、日本のエアラインはシステム部門/MRO部門がERPソフトを基幹として新整備業務システムを構築している。

  • - ANAでは2005年より新整備業務システム「MERS」が稼動
  • - JALでは2008年より新整備業務システム「JAL Mighty」が稼動

このシステムは部品の会計や在庫管理を広くカバーし、エアライン/MRO部門整備士など何千人もの人(ANAでは約3500人)が利用している。

今後は、世界的にもシームレスに稼動できる最先端のプロダクトサポートシステムを導入しつつ、エアライン会社/MRO/航空機メーカー/部品メーカーの連携により、今まで以上に高い安全性を確保する補給、整備体制のサポートシステムを構築していくことが重要になってきている。

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