インドネシアにおけるバイオ・エネルギー開発

インドネシアにおけるバイオ・エネルギー開発

[2012/05/18]

インドネシアは産油国であり、現状の一次エネルギー消費の52%は石油が占めている。その一方で、インドネシア政府は2006年からバイオ・エネルギーの開発に力を入れてきている。熱帯気候に属するインドネシアは、バイオエタノールの原料となるキャッサバ、糖蜜の他、バイオディーゼル、バイオ油などの原料となるジャトロファ、パーム油などの産地として知られている。

インドネシアがバイオ・エネルギーの開発に力を入れている理由として、近年の経済成長により、エネルギーの消費量が増大し、石油依存の体制に限界が見えてきていることがある。また、インドネシアのNational Team for Biofuel Developmentの担当者によれば、バイオ・エネルギーとして利用されるパーム油、キャッサバ、ジャトロファ、サトウキビなどの作物の増産は、雇用問題、貧困問題、環境問題などの解決にもつながるとのことである。そのためインドネシア政府は、2025年までに石油依存度を20%程度にまで抑え、バイオ燃料の割合を5%程度にまで引き上げる政策を打ち出している。

実際、バイオディーゼルの原料として利用されているパーム油は、マーガリン、キャンディーなどの食品として世界中で使われており、インドネシアとマレーシアで世界の需要の80%を賄う量が生産されている。しかし、パーム油には飽和脂肪酸の含有量が多く含まれる一方で、多価不飽和脂肪酸が少ないため健康に害があるとの指摘もある。つまり、食用には向かないパーム油を活用するという意味でもインドネシアのバイオ・エネルギー推進政策は有効であると考えられる。そして、このインドネシアのバイオ・エネルギー増産計画には、日本の他、中国、韓国、ブラジル、シンガポールなど企業も出資をしている。

一方で、問題となっているのは、バイオディーゼルの原料となるパーム油のコスト高である。実際、バイオディーゼル生産コストの85%を原料であるパーム油が占めており、軽油に対して競争力はなく、普及は進んでいない。また、一部からは森林破壊や二酸化炭素の放出増加などにつながるとの反対意見もある。

このような課題があるインドネシアのバイオ・エネルギー政策ではあるが、今後、石油などの化石エネルギーに代わるエネルギーとして注目すべきであろう。

  

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