注目を集める3Dプリンティング技術と3Dプリンター市場

注目を集める3Dプリンティング技術と3Dプリンター市場

[2013/07/08]

大量生産から少量多品種で付加価値の高い製造へのパラダイムシフトとして、3Dプリンティング(アディティブマニュファクチャリング)が大きな関心が寄せられている。3DCAD やCGデータをもとに樹脂や金属を使って立体を造形するこの技術は、30年近く前から存在しているが、近年3Dプリンターの価格が低下して導入しやすくなり急速に広まっている。

3Dプリンターの当初の主要なアプリケーションは、開発段階でのプロトタイプの試作や少量で特殊な製品の製造で、特に自動車や航空機などの輸送機器や軍事産業、建設・建築分野、また歯科や整形外科などの医療分野などが挙げられるが、より小型で低価格のプリンターが登場して、さまざまなコンシューマー製品にも応用され始めた。造形方法としては光硬化法やインクジェット法、熱溶解積層法などがあり、造形に用いる材料も、ABSやPLSなどの樹脂、ゴム、金属、石膏など種類が多様化している。

産業用3Dプリンターに対し、一般消費者を対象としてDIYやアートのような目的で数1,000ドル程度からの3Dプリンター市場が立ち上がってきた。低コストで造形できる熱溶解積層法(熱可塑性樹脂をインジェクタで押し出して積層する方法)の特許切れによってこの分野への参入企業が増え、ブームの要因になったと考えられている。

現在の3Dプリンター市場では、3D Systems社やStratasys社などの米国企業がその大部分を占めており、残りを欧州や日本などのメーカーが埋めているにすぎない。一時期小さなメーカーが乱立していたが、大手メーカーによる買収・合併によって統合が進んでいる。2013年にもStratasysが、パーソナル向け3Dプリンターの主要メーカーであるMakerbot社を買収し、話題を呼んだ。

3Dプリンター関連の事業としては、これを使った出力サービスや、導入のための操作・メンテナンスなどの教育サービスなどが展開されており、今後普及が進むとともにこれらの需要の拡大や新たなサービス・製品が誕生すると予想される。

  

  

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