逐次通訳の日本語力

逐次通訳の日本語力

クロスインデックスには、リサーチコンサルティング部、通訳翻訳部という2つの事業部がございます。
このコラムは、通訳翻訳部のコーディネーターによる、日々の業務を通しての雑感です。

  

[2010/09/22]    外国語で行われる講演を日本語逐次通訳する場合、担当する逐次通訳者には最低限以下の三つが求められます。まずは発話者の発言内容を、即座に、日本語として簡潔にまとめる能力。次に、たとえ講演者が長時間話し続けたとしても、脳内のメモリと手書きメモに溜めた情報を活用し、一気に訳出ができる能力(専門用語でリテンションと呼ばれます)。そして何よりも、高い日本語能力です。
例えば講演者が講演中突然“Physician, heal thyself.”と言ったとき、英語逐次通訳者にはそれを瞬時に「医者の不養生」、あるいは「紺屋の白袴」などの適切な日本語表現を用いて訳す力が求められます。その他、ラテン語等の格言を引用して語ることが多い著名人もいますし、生の講演ではどのような言葉が飛び出してもおかしくはありません。そのため逐次通訳を務めるには、幅広い教養が欠かせないのです。
こうしたことから逐次通訳者は普段から、新聞や時事的問題に関する記事類のみならず、文学的な小説やエッセイを多く読み、日々日本語外国語の両方に触れ、それぞれの言語を脳内で、自分の通訳言語と対比する訓練を継続的に行っています。プロフェッショナルな逐次通訳には、こうした日々の学習が欠かせないのです。

(K.M.より)

  

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