アメリカの食糧輸出とGM作物

アメリカの食糧輸出とGM作物

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このコラムは、リサーチコンサルティング部のコンサルタントによる、日々の業務を通しての雑感です。

  

[2012/05/07]    アメリカの農作物の輸出といえば、広大な耕作地と大規模農業に支えられているイメージがあるが、輸出量の安定・増量の試みも精力的に続けられている。

アメリカから日本への輸出品に、昨年末から遺伝子組み換え(GM)パパイヤが加わった。アメリカ輸出するトウモロコシや大豆は8~9割がGM作物であるが、日本では加工品や飼料に使われている。GMパパイヤは、アメリカでは98年に開発されて以来、国内で流通しているが、日本においては初めての生食のGM食材となる。

GMパパイヤが開発されたのは、パパイヤの一大産地であるハワイで、アブラムシによって感染するウイルスが蔓延し、深刻な被害をもたらしたことによる。パパイヤの遺伝子にウイルス抗体となるプロテインを導入することにより、ウイルスに感染しても影響を受けずに育成させることができるようになった。

GMパパイヤの安全性については、日本の食品安全委員会が「健康を損なう恐れはない」と判断している。表示義務のある日本では、「遺伝子組み換え」と日本語表記されたラベルが貼付されている。

現在のGM作物は、害虫対策や除草剤への耐性などを目的にしているが、今後の流れとして、栄養価や健康維持、アレルギー反応などに焦点をあてた研究も進んでいる。農作物のブランド力は、産出国や地域によるところが大きく、現在は、GM作物は日本の消費者には避けられる傾向があるが、アメリカ農業輸出品、そして日本の健康・美容意識の高さを考えると、GM作物であることが逆にメリットとされる日がくるかもしれない。

  

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