日本の隠れた輸出戦略は?

日本の隠れた輸出戦略は?

クロスインデックスには、リサーチコンサルティング部、通訳翻訳部という2つの事業部がございます。
このコラムは、リサーチコンサルティング部のコンサルタントによる、日々の業務を通しての雑感です。

  

[2012/05/09]    日本からアメリカへの輸出を考えたとき、科学技術に秀で、かつ大量生産が可能なアメリカに対抗できるものは何だろうか。貿易というと形のあるモノをイメージしがちだが、技術貿易やサービス貿易など、無形物の収支も忘れてはならない。ここでは、技術貿易について現状を説明する。

技術貿易とは、「外国との間における特許権、ノウハウの提供や技術指導等、技術の提供又は受け入れ(総務省)」である。輸出入の取扱額が多い主要国は、順にアメリカ、ドイツ、イギリス、日本、フランス、韓国となる。注目すべきは収支比で、輸出が輸入を上回り、最も大きな黒字を挙げている国は、日本である。2位以降は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツである。韓国については大幅赤字となっている(2011年12月当時)。

ただし、輸出額だけで見るとアメリカが圧倒的な一位を誇っており、ソフトウェアの特許料の割合が非常に大きい。例えば、マイクロソフト社のウィンドウズが搭載されたパソコンが1台売れれば、マイクロソフト社に自動的に特許料が入る。こういったアメリカ生まれのソフトウェアは、事実上の世界基準であり、収益は莫大である。

収支バランスの点で言えば、技術貿易は日本産業の基幹技術の強さが証明された形であり、今後も輸出の重要な戦力となるだろう。技術収入の確保のためには、積極的な特許取得により知的所有権の保護に努める必要がある。

  

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