トルコの物価

トルコの物価

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このコラムは、リサーチコンサルティング部のコンサルタントによる、日々の業務を通しての雑感です。

  

[2012/05/09]    トルコ物価は上昇基調を保っているが、トルコの今後の景気と物価の動向はどのように判断できるだろうか。

まず、トルコの2011年の消費者物価指数は10.5%(前年比)上昇した。物価上昇の要因としては、天候不順による生鮮食品の物価上昇や通貨安が挙げられる。年初の政府目標の2倍近い値になり、インフレを懸念する声が上がった。

インフレ率が消費者物価指数の対前年上昇率であることを考えると、トルコは確かにインフレ傾向にある。ただし、適度なインフレは経済の活性化を意味し、後進国が国力を上げる過程で必然的に発生する。投資のためには資本を集める必要があり、金利を高くすれば外国からの投資を得やすくなる。トルコの政策金利は、5.75%であり(2012年1月現在)、過去には17.5%の時期もあった。従って、「物価高=インフレ=悪」という概念は必ずしもあてはまらない。

ただし、景気の上昇期に伴うインフレは望ましいが、景気上昇率を超えて物価が上昇すれば、経済に悪影響を及ぼす。2012年3月、トルコ中銀(CBRT)の金融政策委員会は政策金利の据え置きを決定した。これはインフレ期待の上昇を抑えるため、市中への資金供給量を縮減するのが目的である。

トルコの経常収支は、大部分を輸入に依存している原油の価格が高止まりであるため、赤字基調ではあるが、隣国イラクの戦後復興に呼応した積極的な輸出、韓国との自由貿易協定(FTA)交渉の妥結など、積極的に経済活動を拡大させている。

トルコ物価上昇が意味するものは、経済の活性化、外資の参入、それに呼応した中銀のインフレ対策などであり、景気を判断する上では好感の持てる材料といえる。

  

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