不安材料がある中で堅実な伸びを見せるメキシコ自動車産業

不安材料がある中で堅実な伸びを見せるメキシコ自動車産業

[2013/09/10]

メキシコ自動車工業会のデータによると、2013年上半期のメキシコにおける自動車生産台数は1,488,162台で、前年比5%の伸びとなった。とりわけ、国内市場向けの生産が大幅に増加し、総生産台数を押し上げた。同国における自動車生産は2012年に過去最高を記録したが、2013年も好調な状況が続いている。

メキシコは安い労働力や国内インフラが整備されているといった条件の良さに加え、40カ国以上と自由貿易協定を締結しており、巨大マーケットである米国市場や成長性の高い中南米市場への地理的・政治的アクセスで優位を持つ。このため、世界の自動車メーカーが生産拠点としてメキシコに次々と進出しており、2012年実績で世界第8位(国際自動車工業連合会のデータ)の自動車生産国となっている。

順調な推移を続ける中で、2012年下半期からその成長にブレーキがかかる要素が出てきた。メキシコは1981年に設立されたラテンアメリカ統合連合に加盟しており、このことがラテンアメリカ域内での自由貿易を可能にしている。同連合内の一部の国のみが関わる経済補完協定の中に自動車および自動車部品に関するACE55が結ばれており、ACE55の下でメキシコ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの間で無関税の輸出入が取り決められていた。ところが、メキシコからブラジル、アルゼンチンへの輸出が大幅に増加したことを受け、両国はACE55の見直しを主張。ブラジルが2012年3月から、アルゼンチンが2012年12月からそれぞれ3年間無関税輸入枠を設定することとなった。このことによりメキシコの両国向け輸出の減少が懸念され、実際に2013年の上半期における輸出台数は前年比1.2%の減少となった。それでも、2012年後半からの米国向け輸出の減退が2013年に大きく回復したことが相殺要因となり、減少幅はわずかにとどまっている。

ACE55の改定にもかかわらず、自動車メーカーのメキシコへの資本投下意欲は衰えを見せていない。また、今回の改定では自動車部品は無関税枠の対象外であり、部品メーカーにとっては今後中南米自動車工場への供給拠点としてメキシコ拠点の重要度がさらに高まる見込みである。

  

  

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