震災を踏まえたリスクマネジメントのあり方について

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震災を踏まえたリスクマネジメントのあり方について

~ 海外のグローバル企業に見るリスク管理のケーススタディ ~

株式会社クロスインデックス

この記事は、東日本大震災およびそれに端を発した原発による放射能被害によって、諸外国のグローバル企業がどのような対応を選択したかを説明し、復興への過程によって自社拠点の海外移転を検討している方々に、日本企業がいかなる状況下にあっても事業継続を可能とする態勢構築のために参考にすべき、先行事例を紹介する目的で取りまとめた。

1.未曾有の大災害

2011年3月11日(金)午後2時46分。日本をとりまく環境はこの瞬間を境にして、それ以前とは全く様相を異にしてしまった。東日本大震災である。
震源から遠く離れた首都東京でさえ、その影響からは無縁で居られなかった。特に福島原発は、未曾有の危機を生み出した。欧米発をはじめとする外資系企業は、福島原発が重大な危機に瀕していると見るや、瞬く間にこぞって東京から退避した。

2.各国各機関の対応

日本に拠点を置く各国各機関の対応は、非常に素早かった。
以下に述べるのは、各々の機関・企業がとった具体的な動きの事例である。

  • 大手自動車販売
  • メルセデス・ベンツ(ドイツ発祥の高級車メーカー)

    外国人社員の家族を国外退避。

    フォルクスワーゲン(ドイツ発祥の大衆車メーカー)

    約40人の外国人社員の大半を家族とともに帰国措置。

  • 金融系機関
  • BNPパリバ(フランス発祥の金融機関)

    日本在勤の社員約10人をシンガポールに配置転換。

    アメリカン・エクスプレス・インターナショナル(アメリカ発祥の大手クレジット会社)

    希望者には国外退避や在宅勤務などで対応。

  • 大手消費財
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(アメリカ発祥の医薬品大手)

    海外から日本法人への出張を停止。

    ユニリーバ(英・オランダ系の消費財大手)

    外国人社員の家族を国外に退避。

  • ITサービサー
  • タタ・コンサルタンシー・サービシズ(インド発祥のコンピューターサービス大手)

    社員の半数を占めるインド人を帰国させる準備を開始、また日本人社員とその家族も首都圏から移動させる意向。

  • 高級服飾・アパレル
  • シャネル(フランス発祥のプレタポルテ)

    3月15日より21日まで東日本の各店舗およびオフィスを閉鎖。

    H&M(スウェーデン発祥のカジュアルアパレル)

    関東地方10店舗の営業休止を決定、その上で東京・渋谷の本社機能を大阪に移転、さらにアルバイトも含む国内従業員800人の家族までをも退避。

  • 家具大手
  • IKEA(スウェーデン発祥の日常家具販売大手)

    本社機能を一時関西へと移転。関東圏に住む社員のなかでも、希望者には関西への一時的移動の選択肢を提供。

    外資企業のリスク対応の特徴として、常日頃より事業拠点を分散させて経営管理していることによる、素早い機能移転が挙げられる。無論、本国から外国に進出している企業と、母国でビジネスを行っている企業を同列に論じることは無理があるが、しかし海外進出した日系企業にとって、これら諸外国の拠点分散という経営管理手法は、少なからず学ぶべきところがあると思われる。

3.海外展開というBCM

一方日系企業においては、どのような動きが見られるのか。

BCM。正式にはBusiness Continuity Managementと呼ばれ、事業の継続性をいかに担保するかを目的とした、管理手法だ。

ここで紹介するのは、とある日本の中小金型企業A社に見る、BCM(事業継続計画)の一例である。この企業、元は大阪を拠点とし、パナソニック社のお膝元に数ある下請けの一つとして、プラスチック金型成型を生業としていた。しかし世界的な景気後退や、本丸であるパナソニックが本格化に海外移転を開始したことを受け、数年来くすぶり続けていた海外進出への思いが、一気に具体性を帯びたのだと言う。

その際、進出先として脳裏に浮かんでいたのは、インドと中国。だが、これまでもインドに進出していた日系企業とは取引があり、また周りが中国一辺倒である中、少し違う視点での攻め方があるのでは、という思いがあり、ひとまず向かった先はインド。そこで出会った現地の人々との感覚が、とてもしっくり合ったという。

インドの地に、機縁を感じたA社社長。日本にとどまってもこのままではジリ貧だ、と腹を括った。なんと長く操業を続けた大阪の地をたたみ、インドへと完全に移転する決心をしたのだ。

退路を断ってのインド進出。はたして、多くの日系企業から歓迎を受けた。スペックの部分で、日系同士で精度の高さを担保できることが、大きな優位となった。

だが一方、文化、習慣等による苦労は、日本にいた頃に比べるとやはり多かった。食べ物や日常的な停電など、生活面での苦労もあるという。

しかし、その苦労を押しても出てきた甲斐があったと、A社社長は満足気だ。またこれは決して彼が見越して居た訳ではないが、今回インドにいたことで、震災の影響、放射能汚染の風評からも免れていることだろう。

リスクの分散を目指した海外進出ではなかったが、海外に飛躍することによって事業の継続性も担保できた、幸運な例であったのかもしれない。

4.海外展開への手引き

世界の市場は、まだまだ日本企業を必要としている。しかし、生産拠点の移転は、一朝一夕には成らない。自社に見合ったロケーション、電力確保や工業用水、面積に物流事情、また法律や税制等の有利・不利や人材採用の難易、さらには進出先にサプライチェーン上の上下流に該当する企業があるか等、検討すべきことは山ほどある。

このような項目を一から十まで自ら検討していては、やがて進出する機運も気力も削がれるのは想像に難くない。そうした無用な疲弊により、またと無いビジネスチャンスを逃すのは、あまりにも惜しい。海外進出や生産拠点移転等に精通した専門家に相談すれば、一気に道が開けることもある。これも、大事なリスク低減策と言えるだろう。

なお日本企業の海外進出を支援し、世界137ヵ国からのネットワークを保持するクロスインデックスでは、リスク対策の一環としての海外進出や、その前段階ともなる海外市場調査などの支援を数多く行ってきた経験がある。例えば中国、インド、ASEANに展開されている各工業団地のリストの用意等も、その一つである。この機会にご関心があるようであれば、ぜひ一度弊社にお尋ね頂きたい。

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