ローカル市場を制する者が世界を制するか、即席麺業界

ローカル市場を制する者が世界を制するか、即席麺業界

[2013/10/04]

2011年に東洋水産が「マルちゃん正麺」を発売して以来、各社が次々と「まるで生麺のよう」に進化を遂げた袋麺を市場投入した。また、カップ麺だけでなく袋麺にもちゃんぽんや酸辣湯麺など新しいフレーバーが登場し、日本の即席麺業界が活気づいている。

いまや世界中のスーパーや家庭に欠かせないものとなっている即席麺。世界の即席麺メーカーおよび関連企業が加盟する世界ラーメン協会(World Instant Noodles Association : WINA)の推定によると、2012年の即席麺(袋麺+カップ麺)の需要は1,014億2,000万食で、ついに1,000億食を突破した。最大の市場は中国・香港で、440億食と約43%を占め、二位のインドネシアが141億食と、上位2カ国で過半数を占めている。市場成長率では、インドが2008年の14億8,000万食から2012年43億6,000万食と3倍近くに増えたほか、ネパールが同約75%増、タイ、ブラジル、ナイジェリア、ミャンマー、カザフスタンなども35%以上増えている。

即席麺業界では、世界中に様々なメーカーがひしめいており、国によってブランドシェアにはかなりばらつきがある。現在、中国市場では台湾起源のブランド・康師傅が最大で生産量世界一を誇る。インドネシアではローカルメーカーのIndomieやMie Sedaapブランド、インドでは欧州ブランドのMaggi、ネパールではWaiwaiというタイのブランドがよく知られている。タイやインドネシアのメーカーは国外進出をしているとことも多く、タイのブランドはミャンマーでもポピュラーで、インドネシアのIndomieは中東や北アフリカのイスラム圏に広く展開している。

即席麺発祥の地である日本のメーカーも当然ながら早くから海外へ進出しており、いくつかの国々で成功を収めているが、まだまだ市場を開拓できていないところも多い。新興国やアフリカ諸国など人口からみて成長の余地の大きい市場が数多くあるが、ローカルの嗜好が強く作用する商品だけに、きめの細かい商品開発が必要となる。また、競争が激しい中、商品だけでなく広告宣伝や販売チャネルなどの戦略も重要となるだろう。

  

  

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