クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第35弾 – 中国 2011年1月7日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第35弾 – 中国 2011年1月7日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

中国でスターバックスを凌駕する台湾発・低価格カフェ

台湾発の低価格カフェが上海で人気

上海北京など中国都市部で「カフェ」と言えば、日本と同じくスターバックス(Starbucks Coffee)が定番である。
しかし最近、低価格を武器に集客に成功し、スターバックスを上回る勢いで成長しているカフェが上海に現れた。
それが台湾資本の「85度C」だ。
85度Cは、台湾では300を超える店舗を出店しており、売上はスターバックスを超える。2007年12月に上海第一号店を開店以来、上海市内の主要地域に店舗を次々と出店、2008年末までに約30店舗にまで達した。
どの店舗も24時間営業で、深夜から早朝までは客足が減るものの、朝7時半くらいから混み始め、出勤前とお昼のピーク時間帯をはさんで夜22時くらいまでレジの行列が途絶えることはない。
一番人気のメニューは8元(約104円 1元=13円換算、以下同)というお手頃価格で提供される量たっぷりの「85度ホットコーヒー」で、スターバックスに負けない味だと地元上海人には評判だ。スターバックスのカフェラテ(Café Latte)のトールサイズが22元(約286円)であることを考えると、価格の差は歴然としている。

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上海の85度C

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85度Cのティラミス

高いクオリティのコーヒーとパンをローカル価格で提供

ここまでスターバックスと比較してきたが、中国のローカルレベルを超えた味のコーヒーを提供すること、笑顔でフレンドリーな店員が応対すること、という共通点を除けば、そのビジネスモデルは同じではない。むしろ全く違うと言っても良い。
まず、85度Cはケーキやパンの品揃えも豊富で、これを目当てに訪れる客も少なくない。各店舗で焼きたてが店頭に並ぶことも魅力のひとつだ。ティラミスが20元(約260円)、チーズケーキが12元(約156円)という価格は、ローカル系のパン屋より2~3割高い設定にもかかわらず「ちょうど良い」または「安い」という評価が多い。
店内は決して広くはなく、座席数も15席~20席と少ない。椅子は硬く、スターバックスのソファと比べると長居には適していない。スターバックスが居心地の良い空間を提供すること、また「ワンランク上」というイメージを演出することで集客し、単価を上げることで利益を出しているのに対し、85度Cは高いクオリティのコーヒーやパンを低価格で提供することで大衆客に訴求し、まとめ買いを誘うと同時に、客の回転を速くすることで利益を出している。

中国で大成功する日系カフェの登場が望まれる

一方、日系のカフェに目を向けると、上海など都市部で大成功している店は皆無である。
日本人や欧米人が多く住む地域で、外国人客のみを相手に細々とした商売をする店は存在するが、大きく成長する見込みはなさそうだ。
ミスタードーナツ(mister Donut)は上海に2000年5月に第一号店を開店して以来、辛うじて上海で数店舗を運営しているが、85度Cほどのブームには至っていない。
日本国内には、業績や人気においてスターバックスに勝るとも劣らないカフェやコーヒー・チェーン店があるのだから、上海に住む筆者としては、独自の強みを武器に中国市場にチャレンジして欲しいと願っている。

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上海浦東新区

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