クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第6弾 – ロシア 2009年2月3日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第6弾 – ロシア 2009年2月3日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

掲載頻度としては、半月に一回、19カ国分のレポートの順次掲載を予定しております。国際ビジネスを展開される皆様のヒントになれば幸いです。

代表取締役社長 中村知滋

高級嗜好から本物嗜好へ ~ロシアの食「ブランド」の変化~

中流階級にまで広がるグルメ嗜好

ソビエト連邦解体後、なお世界一の国土面積を誇るロシアは、急速な経済成長を遂げBRICs諸国の一員と呼ばれるようになって久しい。

特に首都モスクワは、大国ロシアの富、人、権力の集中するロシア総人口1億4201万人(2008年1月)の7.4%にあたる1047万人(2007年)が集まる大都市である。

ここには、豊かなロシアの象徴である高価な商品、それを大量に消費する人々の姿が見られる。

不動産、車、レジャーなど高額なものを現金で次々と買う富裕層の人々だけでなく、最近では中流階級の人々も“高級さ”を自らの生活に求めている。その際たる現象がグルメ嗜好と外食ブームであろう。

日本食ブーム

予想を超えた長期、広範囲に及ぶ日本食ブームにより、日本食材富裕層の集まる高級店ではもちろんのこと、産地を問わなければ安売り店でも買い求めることができるようになった。

その背景には、長寿の国日本の食事は健康食とみなされていることや、ロシアではキャビア、イクラなどの魚卵やサーモンが珍味として定着していたため、“魚”の素材を扱う寿司に代表される日本食が入りやすい、といった土壌が既にあったことが考えられる。

モスクワ市内日本食レストランの数は500とも800とも言われており、毎月5万名以上のアンケート結果をもとにしたレストラン・レーティングの最近の結果では、日本料理の人気度は5位(全体の5.5%)の地位を占めている。

2008年の夏のレーティングでは4位(6.9%)だが、ここには「日本料理」とは別に9位(2.7%)に「寿司、刺身」の項があり、合計した9.6%の数字は3位(ロシア料理)と同率である。

近年ロシアにおける家計の消費支出全体に対する外食の割合は3%前後を上下しており、モスクワ市民の平均支出月額35,911ルーブル(2007年。約164,428円。100円=21.84ルーブル換算)から算出すると一人あたり月額1,077ルーブル(約4931円)となる。

これを1047万人のモスクワ市民が外食に、そのうちの5~10%、つまり概算で毎月5億7千~11億2千ルーブル(約26億1千~51億3千万円)が日本食の外食に費やされている、ということになる。

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イクラ、牡蠣などを楽しめる
モスクワ市内のデパート内のコリドー
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キッコーマンなどの日本の商品の
並ぶモスクワのスーパー

多様化する「日本食」

当初、1回の食事に最低100ドルは見込まれた日本食レストランの利用者の大半は富裕層であり、ロシア人にとって日本食は一つの高級ブランドとなった。近年、一人前200~400ルーブル程度のカジュアルな「スシ」が進出し、安売り店の惣菜や宅配でも気軽に「高級ブランド食」が楽しめるようになった。

ただ、これらの日本食で日本人シェフ、日本食材によるものはほんの一握りと言われている。

食品販売では醤油は需要が高く、10種類以上あるメーカーのうちキッコーマン(オランダ、250ml)やヤマサ(日本、125ml)が125ルーブル程度(約339円。100円=36.87ルーブル換算)、最も安いロシア製は40ルーブル程度(108円)である。

一方、酒売り場ではチョーヤの梅酒(432ルーブル、約1172円)の隣に、やはり安い他国製(312ルーブル、約846円)が置いてある。

のり、紅しょうが、蕎麦類は日本産より諸外国産が幅を利かせている。かつて富裕層だけのものであった高級ブランド「日本食」は、より多くの人に手の届くものとなった。

一般家庭の平常の食事でも、醤油を水餃子に似たペリメニにかけたり、のりを香草代わりに使ったりと工夫されている。

「本物」を置く高級食材店

ここに来て、富裕層をターゲットとした高級食材店において変化が見られ始めた。

以前からある諸外国産の日本食材に加え、日本からの輸入品が店内に数多く置かれるようになった。種々の調味料、麺類、酒類の他、菓子、餅、インスタント食 品、清涼飲料水、調理器具にいたるまで品揃えは幅広い。多くは日本で売っているそのままのパッケージに、3×5cm前後の商品情報が記載された小さなラベ ルが貼られて販売されている。

ラベルには生産国、輸入会社などの詳細表示がロシア語で書かれているが、ラベルのサイズは小さいため目立たず、外見はまったく日本の店で並んでいるものと変わりない。

アセロラドリンク、フリーズドライの味噌汁など、高級食材とは言えないものも置かれているが、本物の日本製である。

日本製は高いということは一般に知られている。それにも関わらず棚にある日本製品の数は着実に増えている。

いよいよ本物の日本食の出番である

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