クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第7弾 – 韓国 2009年3月11日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第7弾 – 韓国 2009年3月11日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

掲載頻度としては、半月に一回、19カ国分のレポートの順次掲載を予定しております。国際ビジネスを展開される皆様のヒントになれば幸いです。

代表取締役社長 中村知滋

韓国の「ウェル・ビーイング」(健康)ブームと市場性

ウェル・ビーイング=健康に対するあくなき願望

韓国人の健康に対する関心は日本人が驚くほど高い。ありとあらゆるものが「健康」というテーマを中心に語られ、全ての価値の中心に「健康」が位置していると言っても過言ではない。韓国でここ5年ほど新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどで最も頻繁に取り上げられるキーワードの一つが「ウェル・ビーイング(wellbeing)」という日本ではほとんど聞かない英語であるが、「健康的に生きる方法」とでも訳しておこう。

日本では「漢方」と表記される東洋医学も韓国で は「韓方」と言われ、「韓方医」は正式の医師として大学の韓医科大学(6年制)を卒業後、国家試験に合格しなければ資格を取得することが出来ない制度と なっている。このように「韓方」は、行政的、法律的に「洋方」と呼ばれる西洋医学と同等の位置付けがされており、多くの「韓医院」が開業している他、大学 付属の「韓方総合病院」もあるなど韓国医学界におけるその比重は非常に大きいと言える。

さすがに「 医食同源」のお国柄だけあって、 一般の庶民の間にも食に対する関心が非常に高く、産後や過労あるいは受験など体力が低下したり、体調の不調を感じたときなど、「韓医院」で「診脈」等の検 査後、「韓薬」(「補薬」とも)を注文して服用したり、穀物や体に良いと言われる植物を乾燥後に粉にし、食事の代わりに食する「生食」も人気がある。市内 には多数の「健康院」が営業中で、韓国特産の高麗人参や、「鹿茸(鹿の角)」といった伝統的な薬材、「ミクラジ(ド ジョウ)」「プンオ(鮒)」、「インオ(鯉)」、「カムルチ(雷魚)」等の魚類、梨、リンゴ、ブドウ、石榴などの果物類のエキスを好みに応じて作ってもら い、一定期間飲んだりするのは一般家庭でごく普通に見かける光景である。


韓国
ソウル市内
の夜景
韓国
京東市場に立つ
ウェル・ビーイング百貨店

 

サプリメントへの強い関心

こうした「ウェル・ビーイング」に対する韓国人の高い関心はサプリメントにも向かいつつある。現在、韓国内 では一般のビタミン剤、またはローヤルゼリーやプロポリスなどの他に、薬局や通販などを通して「ガンマ・リノレン酸 」、「グロコサミン」、「オメガ3」などが人気商品として販売されている。まれに国産もあるが日本と同様、大部分を海外からの輸入に頼っており、輸入先と してはニュージーランド、オーストラリアがメインである。

一般に韓国で は日本製品に対して「良質」、「安全」、「効果が高い」という肯定的なイメージが定着しているが、これは健康食品やサプリメントに関しても当てはまるであ ろう。加えて日本が世界で一、二を競う長寿国家であるということも日本産のサプリメントに対する信頼という面で大きな助けとなるはずだ。昨今、一連の中国 産食品問題などにより、韓国でも「安心できるものを口に入れたい」という心理がいつになく高まっている。

現在一部のクロレラ、コラーゲン系の製品がネットを通して販売されているが、PRの仕方次第ではこれらの「健康サプリ」の売り上げはまだまだ伸びるだろう。

何よりもスタミナ!!

次に見落としてはならないのは、男性を対象にしたスタミナ関連のアイテムであろう。韓国の 男性、特に既婚者たちの最大の関心は何といっても「精力」である。歴史上900回を越える外敵の進入を受け民族の血を絶やさないことが至上課題とされたこ と、いまだに伝統的な家父長制度の影響が強く、男の強さが要求されること、世界で最後に残された分断国家として常に緊張状態が続いていることなどが原因で はないかと思われる。

帰宅途中に一杯飲むときも、家族でどこかに遊びに行くときも、会社の会食の席でさえ、韓国の 男たちは「精力に効く」と言えば、先を争って飛びつくのである。「山蔘」と呼ばれる野生の高麗人参が高価なものでは一根数百万ウォンもの高値で取り引きさ れることや、「タンクン」と呼ばれる蛇専門の捕獲業者がいまだに存在することも、単なる健康のためと言うよりも「精力強化」に対する男性たちの熱い思いが 大きく作用しているためであろう。このように、精力系のサプリメントは、韓国でもっとも成功する可能性の高いアイテムの一つであると言えよう。

成分や効能面で韓国製品との差別化を図り、韓国人の好みや食習慣に沿った製品の開発もしくは改良、そしてネット上の専門サイトの効果的な運営、オフライン販売網の開拓等、販売戦略面での努力が実れば、日本企業は確固たる市場シェアを獲得できるものと思われる。

「ウェル・ビーイング」…、健康に対する韓国人の高い関心が持続する以上、ヘルシービジネスの成功の可能性は無限に広がっているのだ。

韓国
伝統的な韓方薬剤店

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