クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第10弾 – ブラジル 2009年3月13日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第10弾 – ブラジル 2009年3月13日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

掲載頻度としては、半月に一回、19カ国分のレポートの順次掲載を予定しております。国際ビジネスを展開される皆様のヒントになれば幸いです。

代表取締役社長 中村知滋

アズール航空参入で活性化するブラジル国内路線市場

2009年に入りブラジル(Federative Republic of Brazil)の航空市場に新顔が現れた。

今年1月から運航を開始しているアズール航空(Azul Linhas Aereas Brasileiras)は、アメリカの格安航空会社、ジェットブルー航空(JetBlue Airways)の創立者として知られるデビット・ニールマン氏が1億5千万ドルを投資して立ち上げたブラジル国内の格安航空会社だ。

市場戦略は「空路拡大、低価格、サービスの充実で競争力のアップ」

ブラジル航空市場の新規参入企業であるアズール航空の基本戦略の一つは「空路の拡大」にある。

2007年にブラジル国内線マーケットの49%を占めたタム航空(TAM Linhas Aereas)や同じくシェア39.5%のゴル航空(GOL Transportes Aereos)など、ブラジル航空市場の二大勢力はもとより、その他の競合他社に打ち勝つためアズール航空は、ブラジル国内の空路拡大を戦略的に展開している。

と言うのも、実はブラジル国 内線航空路線の80%がサンパウロ(Sao Paulo)のコンゴーニャス空港(Aeroporto de Congonhas)やリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のサントス・ドゥモン空港(Aeroporto de Santos Dumont)など、僅か10の大空港に集中している。

そこでアズール航空は、サンパウロ郊外カンピーナス市(Campinas)のヴィラコポス空港(Aeroporto de Vilacopos)など主要都市以外の空港に着目して、これらフルに活用されていない現状を最大限に利用しようというわけだ。

アズール航空は今後5年間で、国内の25都市を新たな航空路線として網羅しつつ、これまで地方都市間での旅行もリオデジャネイロサンパウロブラジリアなど主要都市を強制的に経由しなければならなかった不便さを解消する、という戦略にでた。

アズール航空では早くも2009年1月から、日本の川崎重工も製造開発に携わったというブラジル産の短距離用小型ジェット機(リージョナルジェット機)エンブラエル195(Embraer 195)を3機導入し、さらに、アズール航空の5年計画では今後78機にまで増やす予定だ。

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航空市場の風雲児、アズール航空
(Egom Assessoria de Imprensa提供)
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市街地をいく飛行機

バスより安い破格の価格設定

アズール航空の顧客ターゲットは同業他社の顧客に加えて、他の交通機関の利用者でもある。

例えば、ブラジルにおける長距離バスの利用者数は約1億5千万人とされるが、これらの顧客がバスの利用を選ぶ主な理由は「航空券が高額」ということが挙げられる。

そこでアズール航空は、航空券を格安に設定することでバスの利用者を自社の顧客に取り込もうというわけだ。

そ の販促活動の一環としてアズール航空は2009年1月、1月中の航空券購入で2月末までに搭乗する場合には、パラナ州(Parana)クリチバ (Curitiba)からカンピーナス(Campinas)への航空運賃を51レアル(約2,040円、1レアル=40円換算、往復チケットにおける片道 価格、空港税別)とし、同区間のバス代55レアル(約2,200円、片道)を下回る破格の価格設定を行った。

サービスの充実

さらに、アズール航空は他の航空会社では見られないサービスの向上も図っている。

例えば、アズール航空の目玉商品の一つにカンピーナスとサルバドール(Salvador)を結ぶ路線がある。

サルバドールといえば、16世紀の大航海時代にポルトガル人が新天地として開拓した街でバイア州(Bahia)の州都であるが、ブラジルの民間信仰であるカンドンブレ(Candomble)や格闘技カポエイラ(Capoeira)など、ヨーロッパ、アフリカ、インディオの文化が入り混じった独特の雰囲気の街であり、多くの観光客を魅了している。

上述のゴル航空はサンパウロサルバドール間を往路1,135レアル(約45,400円)及び復路539レアル(約21,560円)で提供しており、また、タム航空は片道719.50レアル(約28,780円)で提供している。

そして、もう一方の競争相手である長距離バスはというと、サンパウロサルバドール間を片道243.26レアル(約9,730円)で提供しているが、運行時間は何と32時間も掛かってしまう。

他方、アズール航空にはサンパウロサルバドール間の直行便はないが、カンピーナス-サルバドール間のフライト(2時間15分)を219レアル(約8,760円、往復チケットにおける片道価格、空港税別)といった破格の値段で提供しており、サンパウロ市からの利用者に対しては、運行1時間のシャトルバスを用意している。

これにより、サンパウロサルバドール間の所要時間は約3時間30分となるが、料金はゴル航空やタム航空の運賃の半額以下でバスの約1/9の所要時間で旅行ができる。

さらに、アズール航空が運航するエンブラエル195の座席はエコロジー皮革が使用され、横4列でゆったりとしている他、前の座席とは79センチの距離があり、足を思い切り伸ばすことができる。

また、追加で約30レアルを払うと、「エスパッソ・アズール(Espaso Azul)」という、前の座席とのスペースが86センチもある座席に案内してもらえる。

このようなサービスの充実によってアズール航空は、更なる顧客の囲い込みを計画しており、世界的金融危機で失業者が相次ぐ中、「5年後には5,000人の雇用を見込む」と鼻息も荒く積極的な事業展開を行っている。

航空市場の風雲児と言われるアズール航空のアグレッシブな価格設定と路線拡張、また、各種サービスの充実が成功するか否か、今後の展開が注目を浴びている。

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南米最大の経済都市、
サンパウロの高層ビル群

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