クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第22弾 – ブラジル 2009月7月23日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第22弾 – ブラジル 2009月7月23日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

掲載頻度としては、半月に一回、19カ国分のレポートの順次掲載を予定しております。国際ビジネスを展開される皆様のヒントになれば幸いです。

代表取締役社長 中村知滋

世界第二のバイオエタノール産出国となったブラジル

ブラジルFederative Republic of Brazil)はアメリカ(The United States of America)に次ぐ世界第二のバイオエタノール産出国であり、新エネルギー供給国として世界から大きな期待が寄せられている。

アメリカとの連携を強めるブラジル

バイオエタノールに関連してブラジルは、同じ大供給国であるアメリカとの連携を強めている。

ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領は2007年3月に、アメリカのジョージ・ブッシュ(George w. Bush)前大統領とエタノールに関する覚書に調印している。

これを受けて同年4月には、ブラジルの視察団がアメリカを訪問してセルロース製エタノール工場や研究施設を視察したのに続き、5月末にはアメリカの視察団がブラジルを訪問するなど、両国はエネルギー交流を深めている。

またブラジルとアメリカでは、こういった交流の一環として、エネルギーの「持続可能性(Sustainability)」など両国が共に取り組むべき課題について共同報告書をまとめている。

同報告書の発表を含め、上述のような両国の交流は、将来、バイオエタノールの規格標準化を促進するであろうと、アメリカの国立再生可能エネルギー研究所(NREL)は分析している。

バイオエタノールの規格標準化(コモディティ化)とは、すなわち、バイオエタノールの製造過程や品質などについて製品規格を標準化することであるが、これによって、バイオエタノールの普及が更に広がる可能性がある。

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果てしなく広がる
サトウキビのプランテーション(UNICA提供)
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アルコール燃料の表示が目立つ
サンパウロ市内のガソリンスタンド

フレックス車の台頭により、バイオエタノールの国内需要が拡大

ブラジルのコンサルタント会社が行った調査によると、ブラジル国内のガソリン消費量は2007年の180億リットルから2015年には40%減の110億リットルまで下落すると予測されている。

その一方で2015年にバイオエタノールの消費量は、現在の2倍以上である321億リットルまで拡大するとされている。

バイオエタノールがガソリンにとって替わる一つの大きな理由としては、フレックス車(ガソリン、バイオエタノール両方の燃料が使用可能)の更なる普及が挙げられる。

現在、ブラジル国内で製造されている自動車の90%はフレックス車となっており、2015年にはフレックス車の生産台数は1,500万台にまで到達するという。

近い将来、ブラジルの市中を走る自動車の多くはフレックス車に取って代わることであろう。

実際、現在も既にその予兆は見られる。

2008年前半期には含水アルコール(アルコール燃料)と無水アルコール(ガソリンにアルコール25%を混入した燃料)の消費量は合計90億3700万リットルにのぼり、同期のガソリン消費量90億3800万リットルに迫る勢いをみせている。

 

世界へ向けブラジルの基幹産業へ

バイオエタノールへの関心はブラジル国内だけではない。

ブラジル鉱山エネルギー省によると、バイオエタノールは海外で1リットル平均0.47USドルの価格で取引されており、ブラジルは2008年、過去最高の51億6,000万リットルのバイオエタノールを輸出している。

その中でも同じバイオエタノール大国であるアメリカが年間28億リットルを買付けており、輸出量の55%を占めている。

また、アメリカだけではなく、日本もブラジル製バイオエタノールに着目している。

三井物産は2008年3月、ブラジルでの複合バイオエネルギー事業へ参画するために、ブラジルの 国営石油会社ペトロブラスと共に、出資比率50%の合弁会社、日伯バイオエネルギーコンプレックス投資会社(仮称:Participacoes Nippo Brasileira em Complexos Bioenergeticos S.A. )を設立し、覚書に調印している。

これにより、ブラジル南西部のマット・グロッソ(Mato Grosso)、中部ゴイアス(Goias)、南東部サンパウロ(Sao Paulo)、同ミナス・ジェライス(Minas Gerais)等々の各州で、輸出専用のバイオエタノール生産工場の建設計画が進行している。

2010年以降、日本向けのバイオエタノールは年間10億リットルに達する見込となっており、地球温暖化対策でバイオ燃料の需要拡大が予想される日本においては、将来的に再生可能エネルギーの安定供給国となるブラジルに対して、大きな期待が寄せられることだろう。

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ガソリンは消費量の減少が予測されている。

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