クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第29弾 – フィリピン 2010年1月8日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第29弾 – フィリピン 2010年1月8日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

モールを制する者が、フィリピンを制す

マニラから広がる新しい消費

2008年12月にアネックスが新設されたマニラ近郊ケソンシティにある『SMシティー・ノースエドサ』は、売場面積42.5万㎡を誇るアジア最大規模の巨大ショッピングモールである。端から端まで最長750mのモール内が、平日は30万人、週末は50万人で賑わうという。

SMシティー・ノースエドサを運営するのは、フィリピンの財閥企業で小売業界に絶大な影響力を持つSMグループだ。モールや百貨店やハイパーマーケット、スーパーマーケットをフィリピン全土に展開しているSMグループの成長は著しく、近年ではマニラ近郊のみならず、全国の主要都市に次々とショッピングモールを建設、出店している。

SMシティー・ノースエドサは1985年に現在の1/3の広さでオープン、以来増築を重ね、現在の広さにまで拡張された。
SMは本来大型百貨店だが、日本とは異なりほとんどがモールとの複合構造になっており、商品の値段も比較的大衆的なものが多い。このように一流ブランド品と安物が肩を並べる環境では、ターゲットを富裕層のみに絞ることはできない。
フィリピン人の暮らしが物質的に豊かになるにつれ、地方の街では、地元で手に入らない品々を求めて “SM詣で” をすることが日常化されつつある。

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行列が常に引きも切れぬ店

ど このSMでも必ず目にする店がある。『Cd-r King』というコンピュータ等周辺用品のチェーン店で、せいぜい20㎡ほどの広さの店舗にはいつ行っても客が行列を作っている。“Your one-stop media provider” と銘打つだけあって、CD-Rをはじめとした各種ディスクや細々としたデバイス等が驚くほどバラエティ豊かに、そして驚くほど安価に売られている。

いってみれば、コンピュータ周辺用品の “サリサリストア” の趣きである。近年普及してきた携帯電話やi-Pod、MPシリーズ等とオーバーラップする品揃えも功を奏している。客は予め買いたいものが決まってい て、「これとあれ」という風に名指して、手にすると、代金を払ってそそくさと帰っていく。至ってシンプルである。欲しい機能・商品が決まっているから、あ れこれ迷う必要がない。

大衆展開への足がかり

Cd-r Kingの多くは、テナント形式の小さな店舗だが、モールによっては通路にブースだけを設置して営業しているところもある。有名なシルバーアクセサリーの専門店も同様の展開を行っている。
大衆的な価格帯の商品を抱えるショップにとって、モールを制すればフィリピン国内での全国展開は見えてくる、という認識が既に定着しているのだ。

安くて良い品を提供することのできる日本のメーカーやディーラーが、どうしてフィリピンのやり方を取り入れて市場参入しないのだろう、と不思議に思っていたが、先日、マニラ近郊のSMマカティに明治製菓のチョコレートを盛大に並べたブースを発見してこの「不思議」が解消した。
フィリピンの人たちも日本のブランドは高いだけではないということを少しずつ認識していくことだろう。

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