クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第32弾 – メキシコ 2010年9月6日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第32弾 – メキシコ 2010年9月6日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

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メキシコの輸入医薬品に対する規制緩和

メキシコは、2008年8月5日、官報で医薬品の輸入拡大につながる改定を発表した。
この改定は、「健康増進に関する規則」の第168 条、 170条に対して行われたもので、第168条は「医薬品の衛生登録者となるためには、人体用生物学的製剤の工場または研究所を所有すること。外国の医薬品メーカーの場合は、原産国の衛生当局が発行する医薬品製造許可を取得していることを証明する許可を所有すること」とされ、また、第170条には、第3項「メキシコ合衆国居住の法定代理人を証明する書類」という一文が加えられた。
改定前は、メキシコで衛生登録するためには「メキシコ国内に工場や研究所を所有すること」という条件(以下、工場要件)があったため、外国メーカーのメキシコ医薬品市場への参入は難しかったが、今回の改正により、メキシコに工場や研究所を持たない外国メーカーでも衛生登録ができるようになり、医薬品をメキシコへ輸出できるようになった。
市場に殺到する外国製医薬品を前に懸念される品質管理については、上記の官報に、医薬品の品質を管理するための予算も計上すと記載されている。レフォルマ(REFORMA)紙によると、衛生リスク保護連邦委員会(Cofepris)の衛生許可委員会会長オライズ氏は、「企業は、工場所有の必要はなくなったが、衛生リスク保護連邦委員会(Cofepris)内 に品質監督保管庫が必要になる」と述べたとのことである。これは、従来工場や研究所に期待していたチェック機能を衛生リスク保護連邦委員会(Cofepris)が負い、その役割が増加することを意味しているのではないかと考えられる。
メキシコでは薬が高価な上、必要な薬がすぐ入手できない場合があるので、この措置は衛生リスク保護連邦委員会(Cofepris)会長トスカノ氏も「医薬品の供給システムを効率化し医薬品業界の競争力を向上させ社会に裨益する」と述べているように、メキシコ社会にとっても朗報である。

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メキシコシティ

撤廃スケジュール

この政令は2008年8月3~8日にメキシコシティ(Mexico City)で開催されていたエイズ会議にあわせて発表された。エイズ治療薬である抗レトロウイルス薬は公布翌日から適用されたが、そのほかの品目については国内医薬品業界への衝撃を配慮したのか、2年にわたる段階的な撤廃スケジュールが適用された。
2009年2月までに撤廃すると記載されていた品目については、レフォルマ(REFORMA)紙は2月10日付けで、医薬品業界への工場要件撤廃がスケジュール通り行われた、と報じている。同記事は、2008年2月5日以降ビタミンや同毒療法、薬草が、メキシコ国内に工場、研究所が無くても輸入されたこと、そして、衛生リスク保護連邦委員会(Cofepris)がワクチン、血清、血液製剤、抗毒薬、生体起源ホルモン剤も輸入可能になることを発表した、と伝えている。
官報によると、メキシコが輸入医薬品への工場要件を廃止するスケジュールは以下のとおりである。
2009年8月4日まで: バイオテクノロジー医薬品、生物学的製品その他の医薬品
2010年2月4日まで: 麻酔性物質、向精神性物質を含む医薬品、保健法第226条の処方箋を必要としない医薬品
2010年8月4日まで: 保健法第226条第4項のその他の医薬品(避妊薬の場合)
なお、抗レトロウイルス薬(エイズ治療薬)、ビタミン、ワクチン、血漿、血液製剤、抗毒薬、生物起源ホルモン剤、同毒療法療剤、薬草剤の工場要件はすでに撤廃済みである。

メキシコでの医薬品市場のシェアをめぐる競争は始まっている。

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