クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第33弾 – ブラジル 2010年9月6日

BRICs、NEXT11、VISTA等新興国19カ国 現地ビジネスレポートの定期購読申し込み(無料)はコチラ

brazil

クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第33弾 – ブラジル 2010年9月6日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

ブラジルの支払カード産業で頭角を現す福利厚生カード

躍進するブラジルの支払カード産業

便利で手軽、迅速、安全、充実したサービス――ブラジルでは、近年、レストランやショッピングセンター、スーパーマーケットにおいて、カードで支払いを済ます人が多くなっている。

ブラジルのクレジットカード・サービスカード企業協会(Associação Brasileira das Empresas de Cartões de Crédito e Serviços=Abecs)によると、2008年、ブラジルでクレジットカードやデビットカード、ギフトカードなど各種支払カードを利用した購入総額は3887億レアル(約16兆688億5800万円、1レアル=41.34円換算)に達し、前年に比べ24%アップとなった。
内訳をみると、クレジットカードが最も多く2235億レアル(約9兆2394億9000万円)、デビットカードは前年比32%増の勢いで1123億レアル(約4兆6424億8200万円)を計上している。
Abecsは支払カードを利用した購入総額の増加について、電子決済システムへの移行、商業販売の拡大、新顧客への各種カード発行などを理由に挙げており、今後も増える傾向にあるだろうと予測している。

brazil
サンパウロ市内にあるスーパーマーケットのレジ

brazil
デビットカード利用時に使う機械

福利厚生をプリペイドカードで支給

投資情報サービス会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)の報告によると、ブラジルにおける支払カードの所有枚数は一人当たり平均2.4枚という。
デビットカードが最も所有率が高く一人当たり平均1枚、クレジットカードは平均0.6枚となっているが、ほかにもブラジルで急成長を遂げているものに福利厚生カード(Cartões-Benefício)が挙げられる。
福利厚生カードとは、企業が従業員に対し昼食代や基礎食料費、交通費など福利厚生にかかる金額を入金したプリペイドカードの総称であり、福利厚生の種類によってレストランカード、スーパーマーケットカード、ガソリンスタンドカードなど別々のカードが支給される。
なかでも昼食代や基礎食料費を支給する福利厚生カードは、政府が1976年に制定した貧困労働者の食料確保を推進するプログラム(Programa de Alimentação do Trabalhador=PAT)による税制優遇があり、各企業が積極的に導入、11万1,000社がPATプログラムに登録されている。
政府の後押しと電子決済による商取引の増加を受け、2006年、福利厚生カードの取引総額は130億レアル(約5374億2000万円)を計上、その後も年々10~15%の成長が見込まれている。

外国企業が福利厚生カードの潜在力に期待

福利厚生カードは、年商60億レアル(約2480億4000万円)のフランス系ホテル経営グループのアコー(Accor)のチケット(Ticket)、続いて、クレジット会社のVISAがブラジル国内の銀行数社と共に設立したCBSSのヴィザ・ヴァレ(Visa Vale)、低額取引処理システムを開発したSmart.Net.社を傘下に有するブラジル資本のVRグループ(Grupo VR)のヴェ・エッヒ(VR)、フランス系大手ケータリング会社のソデクソ(Sodexo)のパス(Pass)などが挙げられる。
このうち、業界4位のソデクソは2008年、業界3位のVRグループの福利厚生カード部門を約10億レアル(約413億4000万円)で買収、ブラジル国内での顧客企業数5万社、カード利用者500万人、契約店舗数25万店、年商75億レアル(約3098億2500万円)で業界トップに躍り出た。
買収により福利厚生カード市場の33%を占めリーダー格となったソデクソは、「ブラジルは福利厚生カード市場において潜在的な成長力を秘めている」と将来の展望を語っている。

brazil
ブラジルの支払カード
(手前3枚が福利厚生カード)

ブラジルへの進出支援、販路開拓、市場調査、ブラジル人アンケート調査、ポルトガル語翻訳・通訳のお問合せはこちらまで


ページの先頭へ