クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第38弾 – フィリピン 2011年5月12日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第38弾 – フィリピン 2011年5月12日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

フィリピン人の思考”人がするから、私もする”

有名だから価値がある

フィリピンPhilippenes)で暮らしていると、マニラ首都圏はおろか地方の田舎町に至るまで個人の売名行為ばかりで驚いてしまう。例えば何かの式典があると、ステージの中央にデーンと構えているのはイベントの主役ではなく、本来裏方役であるスポンサーであったり権力者であったりする。しかも、それらの人々の名は顔写真入りでイベント名になったり、何度も何度も連呼されて喧伝される。

お金があることがパワーであり、パワーとは有名であることである。政治家だけでなく、誰もが己の名を大衆に広めようとするところに、フィリピン社会の縮図が表されている。お金があれば何でもできるのがフィリピン共和国の現状で、ほんの一握りの超富裕層がフィリピンの国家国民をコントロールしようとしている。そして、誰もが“パワー”にあやかりたいのである。

フィリピン人はエスタブリッシュされたものに弱い。広告業界では声の大きい者の案が通るのと同じように、フィリピンでは確立された名声に人々はなびいていく。しかも、それが海外から来て有名なものならば、有無をいわず諸手を挙げて受け入れる。

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イエス・キリストはいちばん有名
いまだにヒーロー

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メルセデス(Mercedes-Benz)のマークだが
このジプニー(gypsy)とは
なんの関係性もない

中身よりもブランドの威力

フィリピン人のブランド信仰が強いというと、以前に「実用性を重んじる」と述べたことと矛盾するようだが、実はこの“二重構造”がフィリピンマーケットの鍵である。流行品を手に入れられない庶民層は、ブランドをたんにファッションとして受け止めている。商品がフェイクなのはもう最初から諦めていて、実用性に徹したうえロゴやロゴマークだけ飾って楽しんでいる。そう、フィリピンではブランドは“飾り”なのである。

マニラ(Manilla)をはじめ、どの島でも主要交通手段であるジプニー(gypsy)やトライシクル(英語の名前)には、車両とはなんの関係もないブランドロゴがベタベタ装着されている(が、宣伝料をもらっている訳ではない)。ジプニーは第2次大戦後、米軍ジープを乗合バスに改造してから現在に至るまで移動手段の主流である。そういう風に、一度受け入れたスタイルを容易に変えられない一方で、メジャーなものはどんなものなのか吟味もされずに名前だけが流布していく。それほどまでにフィリピンには模造品や疑似品が溢れている。

自ら新しい試みはしない

ブランド品は概して値段が高い。特に海外メーカー製品の多くは高値の花である。ところが、フィリピンメーカーのなかには、メディアを活用し強烈なブランドイメージを確立しながら、しかも低価格で供給しているところが目につく。そういう“大衆ブランド”は業績も良い。日本メーカーはといえば、クオリティとデザインに固執しているためか、残念ながら庶民レベルまで降りていっていないところが多い。

貧乏なだけに、“見てくれ”を気にする。また、隣家がサリサリストア(sari-sari store)(食品から日用品までのよろず屋)をはじめたからといって、我が家もはじめるといった、人のすることを見てようやく重い腰を上げるのがフィリピン人である。絶えず他人の目を気にし、他人のすることを真似するのが好きなフィリピン人だからこそ、衆のなかに商品を浸透しはじめれば後は早く、しかも長続きする。

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トライシクルにもなぜか三菱マークや
Vidal(ハムメーカー)のロゴ

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