クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第40弾 – メキシコ 2011年6月3日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第40弾 – メキシコ 2011年6月3日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

メキシコの景気と今後の見通し

米国の経済減速を受け、メキシコでは、2002年以降0.8~4.8%間で推移していたGDP成長率も2009年は落ち込む見通しである。

バナメックス(Banamex)フィナンシャルグループによると、2009年のメキシコの経済成長率は当初の予測0.2%減から1%減に引き下げられている(2008年末予測)。失業率も2008年12月末には4.32%に上昇し、失業者数は2百万人に達した。

失業者を学歴別にみると、34.95%は高学歴または技術を持つ人材で、一番大きな割合を占めている。

インフレと落ち込む消費

メキシコの消費者物価指数の上昇率は2006年の4.05%から2007年の3.76%へと推移してきたが、2008年に入り6.53%と急上昇した。これに米国発の経済危機が追い討ちをかけ、消費者の間には買い控えムードが広がった。ANTAD(メキシコ小売業協会)によれば、2008年12月の小売の売り上げが前年同期比10.7%減となった。

売上高が失速した商品とその割合は、電気製品、ビデオ、携帯電話等の家電製品が20.4%、アクセサリー、めがねコンタクト用品、文具11%、家具30.4%、自動車用品、贈答品、写真などの一般生活用品12.4%、衣類15.5%となっている。

また、食品や飲料も2008年に価格が20%近く上昇したため、買い控えが起きており、中でも健康食品、輸入品の購入が減っている。

各小売店側は、月賦販売、10ペソ(約62.5円)均一セール、購入額に応じてのポイント還元、クジ引きなどの販売促進策を展開し、消費刺激に躍起となっている。

また、小売大手のウォルマート(WAL-MART)は、食品や日用品など生活必需品500品目の値上げを凍結した。

ユーロモニターの分析によると、消費者は手持ちの現金が少なくなったことから、必要なもののみをクレジットカードで購入する傾向が強くなったと言われている。ANTADは、2009年小売の販売額は前年比4%減へ、また、投資額は63%減になると予測している。

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買い控えで閑散としたスーパー店内

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チラシ(1ペソ=約6.25円 2009年2月1日)

政府の対応と2009年の見通し

メキシコのカルデロン大統領は、国内経済における衝撃を緩和することを目的として、2009年1月7日に「家計と雇用支援のための合意」といった政策目標を打ち出した。

その中でカルデロン大統領は雇用・労働者支援、家計支援、インフラ投資などを進めるとともに、2009年度内のガソリン価格の凍結、ガス料金の10%引き下げ、中小企業を対象にした電気代の引き下げ、中小企業による政府資金の調達目標の設定など、具体案を提示した。

メキシコ中央銀行(Banco de Mexico)は、2009年末の消費者物価指数の上昇率を6.36%と予測しているが、市場アナリストは、エネルギー価格の凍結がインフレの抑制に繋がるとして、消費者物価指数の上昇率は4%程度に収まると見ている。

対メキシコ投資の動向

このような厳しい経済状況の下、メキシコも他国にも増して投資額が鈍化している。

例えば、CFE(電力公社メキシコ)が60%のプロジェクト経費削減計画を出したほか、中国政府によるタマウリパス州(Estado Libre y Soberano de Tamaulipas)とヌエボレオン州(Estado de Nuevo León)間の水道橋建設、国際海洋集装箱(Chinese International Marine Containers))によるタンク製造計画などが中止となっている。

しかしながら、それでもメキシコ投資先として魅力のある国である。

先日は国際物流大手のDHLが5年間で1億1,200万USドルの投資を決めており、大手飲料メーカーのペプシコ(1億USドル)やバリー(4,000万USドル)などもメキシコへの投資、進出を決定し話題となっている。

また、欧州の航空機メーカー2社(企業名は未公表)もそれぞれ工場や技術開発研究所をメキシコに設立する予定である。

投資先としてのメキシコの魅力は、北米市場に隣接しながらユーロ-ドル間の為替レートの変動から影響を受けにくいこと、生産と販売を近接することによるコスト削減が一般的であるが、その一方で、近年著しく向上しているメキシコの生産性と賃金の抑制といったバランスも挙げられよう。

INEGI(メキシコ国立地理統計情報研究所)によれば、2006年から2008年(~10月)の間の製造部門の生産性は平均2.3%の伸びを示しているが、同期間の賃金の伸びは1.1%に留まったままである。

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