本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。
BRICs、NEXT11、VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。
代表取締役社長 中村知滋
←第46弾 ロシア | 第48弾 ブラジル→ |
|
メキシコ(Mexico)の首都メキシコシティ(Mexico City)は、人口1874万人を擁し、国連の世界大都市ランキングで東京に次ぐ大都会である。しかし、その人口を支える交通インフラは十分とはいえない。 メキシコシティでは、信号の故障、案内表示の破損、道路の陥没、水道管の破裂によく遭遇する。また、渋滞、事故情報の電光掲示板がない。 平日の渋滞は甚だしい。メキシコシティの日本人が多く住むミゲルイダルゴ(Miguel Hidalgo)区の資料では、70%の区民が一日平均2~3時間を移動に費やしているとある。メキシコシティの公共交通機関には、地下鉄、バス、ぺセロ(決まったルートを走るマイクロバス)があるが、治安が悪く不衛生で、通勤・通学には適さない。そのため、多くの人が車で移動せざるを得ない。3人の家族を3箇所に送迎をして、一日延べ7時間車内で過ごす親も実際にいるのである。メキシコ人は慣れたもので、渋滞中に携帯電話で仕事や食事をしたり、髭を剃ったりと“車内ですること”を用意している。
また、メキシコシティでは、環境対策の一環でナンバープレートの末尾の番号により走行できない曜日がある。走行できない曜日は、別の車を使う、知人に依頼するなどで通勤・通学に更にひと手間余計にかかるのである。 |
メキシコシティの通勤・通学のコスト定時開始が必要な企業、学校ではバスを個別に手配している場合が多い。企業の場合は地下鉄の主要駅とオフィス間を朝夕運行する。 学校の場合は、生徒の各家庭を回りピックアップする。費用は一ヶ月1,100~2,500ペソ(約8,000~19,000円)とばらつきがあり、車両も安全性を無視したものがあるため、最近メキシコシティ交通局(RTP)は、スクールバス事業を低料金で始めると発表した。また、運転手を雇用する場合は、月額7,000ペソ(約5万円)+時間外手当や食事代+クリスマスのボーナス(一ヶ月分)で年間約130,000ペソ(約90万円)かかる。 |
|
|
自転車市場への追い風交通事情が改善しないなか環境対策の観点からも、メキシコシティでは自転車を普及する試みが以前からあった。政府も自転車の使用を奨励、自転車専用道路の整備を進めるほか、2007年には市長みずから自転車通勤し、市役所員にも自転車通勤を促した。週末には一部の幹線道路が自転車・歩行者天国になっている。 現状では、車優先のメキシコシティでは自転車が生活で利用されることは殆ど無かった。主に週末、公園、旅行先で自転車天国のイベントやサイクリングでたまにみかけるレジャー用品に過ぎず、自転車ときいて、ジムのトレーニング用のエアロバイクを想像する人も多い。購入者層は20~40代で余暇があり自転車を購入できる層である。ターボ(TURBO), ビメックス(BIMEX)のメキシコ製品が販売されており、メホールプレシオ(Major precio) と呼ばれるサイトでは一台1,200ペソ台から2,910ペソ以上、デパートでは3,000ペソ台以上のものが販売されている。日本企業製品はないが、ターボの製品にはシマノの部品が使われている。 最近市内で自転車の無料貸し出しが始まった。身分証明書と保証金を預けて借りるシステムだ。そのため最近は随分自転車を見かけるようになった。今後もレジャーだけでなく生活に利用する機会や経験が普及すれば、自転車の登場する場面が増加しそうである。メキシコは産油国であるが、将来石油輸入国に転落するという見通しが出ており、ガソリン代も現状の価格を維持できなくなる日がくるだろう。車社会も限界に達している。そろそろ自転車が市民生活の一翼を担う時期が到来する予感がする。 |
←第46弾 ロシア | 第48弾 ブラジル→ |
ガバレッジ国 | 141 ヶ国 |
---|---|
エキスパート国籍 | 138 ヶ国 |
対応言語 | 340 言語 |
エキスパート | 14,369 名 |
海外提携企業 | 421 社 |