クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第48弾 – ブラジル 2011年7月12日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第48弾 – ブラジル 2011年7月12日

新興国19カ国レポートについて

本レポートは、海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業様や、海外の政策や法律動向を見ておられる官公庁様、さらには学校法人様、現地事情にご関心のある個人の方に向けて執筆しております。

BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、インドネシア、中国、マレーシア、メキシコ、タイ、バングラデッシュ、南アフリカ、ロシア、ブラジル、ベトナム、韓国、フィリピンの19カ国を対象に、クロスインデックスの現地調査員の情報提供の下に配信してまいります。また、今後、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、インド、パキスタン、ナイジェリア、イランなどの国々を追加していく予定です。

代表取締役社長 中村知滋

日本式を導入したブラジルの地上デジタルテレビ放送

高画質、高音質、多チャンネル、ワンセグなど、日本でおなじみの地上デジタルテレビ放送ブラジルテレビ産業を賑わせている。

ブラジルの地上デジタルテレビ放送

ブラジルでは1999年、ブラジル通信監督庁(Agência Nacional de Telecomunicações=Anatel)が電気通信開発研究センター(Centro de Pesquisa e Desenvolvimento em Telecomunicações=CPqD)とともに地上デジタルテレビ放送の標準を決定する経済技術評価プロセスを開始、2003年11月、ブラジル地上デジタルテレビ方式(Sistema Brasileiro de Televisão Digital=SBTVD)委員会が設立され、大学や電気通信企業らと共に地上波デジタル標準の研究を始めた。

2005年、ブラジルの通信相、エリオ・コスタ(Hélio Costa)氏により、日本で使用されている地上デジタルテレビ方式(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial=ISDB-T)を基盤にしたシステムのプレゼンテーションがあり、翌2006年6月、ブラジル政府はこの日本式システムを基盤にしたブラジル地上デジタルテレビ方式を正式に採用する大統領令を公布した。

日本の地上デジタルテレビ方式を採用した理由には、携帯電話など移動体でのテレビ放送に対応していること、また、固定受信機であるテレビにおいても、高画質や多チャンネル、ブラジルで開発されたミドルウェア「ジンガ(Ginga)」を利用した双方向サービスが挙げられている。

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CONTROLE REMOTO
デジタルテレビではリモコン一つで
双方向サービスが可能

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韓国企業サムスンが公開デモンストレーション

コンピュータなんて高嶺の花、周辺機器なんてとてもとても、という層が希望を託すのがブラジル地上デジタルテレビ方式の基準が決まり、東芝、ソニー、NECなど日本の有力メーカーはもちろんのこと、その他のメーカーの研究開発も盛んになった。

韓国企業のサムスン(Samsung)は2007年6月、ブラジルで初めて、ブラジル地上デジタルテレビ方式の公開デモンストレーションを行った。

サンパウロ(São Paulo)にあるサムスンのショールームでは内臓チューナーを搭載した液晶ディスプレイとセット・トップ・ボックス(Set-top Box=STB)を使用した液晶ディスプレイの2種が展示されたが、どちらの機器もブラジルのアマゾナス州マナウス(Manaus)にあるサムスンの研究センターで開発されている。

また、PCモニターやフラットパネルテレビを製造する台湾企業、プロビュー(Proview)も2007年、総合半導体メーカーであるSTマイクロエレクトロニクスとブラジル地上デジタルテレビ用STBの共同開発に着手した。当初、市場には1000レアル(約43,100円、R$1=43.1円)以上もする製品が出回っていたが、プロビューの製品は約300レアル(約12,930円)まで抑えられ、比較的アクセス可能な価格帯に落ち着いている。

全国デジタル化とメルコスール標準へ

ブラジル地上デジタルテレビの正式な放送は2007年12月、サンパウロでスタート、2008年にはリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)やベロ・オリゾンテ(Belo Horizonte)など8都市へと拡大した。2013年までにブラジル全国に展開し、2016年6月29日にはブラジル国内でのアナログ放送の終了を予定しているという。

さらに、ブラジル地上デジタルテレビ方式はメルコスール(Mercado Comum do Sul)でも脚光を浴びている。

ブラジル地上デジタルテレビ方式はアルゼンチン、チリ、ペルー、ベネズエラ、コロンビアで導入が検討・採用されており、ブラジル式を選んだ理由にメルコスール諸国におけるシステム・インテグレーションの保証、部品・機器入手の容易性などがあり、南米共同市場におけるシステム標準化が述べられている。

日本の高度技術を駆使したデジタルテレビ放送ブラジル、そして、メルコスールで展開されていることは日本人の誇りといえよう。

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