クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第61弾 – タイ 2012年01月24日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第61弾 – タイ 2012年1月24日

新興国19カ国レポートについて

海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら

多様化するバンコクの日本食レストラン

増加の一途を辿る日本食レストラン

タイ首都バンコクに足を踏み入れると、まるで自分が日本にいるかのような錯覚に襲われる。どこを見ても日本食レストランが目に入ってくるからだ。日本食の代名詞である「スシ」「テンプラ」「ラーメン」はもとより、最近では「カレーライス」や「とんかつ」、ついには「うなぎ」専門店までオープンした。日本ブームと共に近年のタイ人の健康志向が相まって、ますます日本食にタイ人の関心が向いているのだろう。

かつて私がバンコクに在住していた1987年頃の日本食レストラン店舗数はせいぜい20店舗程度だったように記憶している。しかしタイレストラン協会Thai Restaurant Association)によれば、現在ではタイ国内で1,000店舗を超えるという。バンコクのBTSサイアム駅に直結するビッグモール、サイアムパラゴンだけでも日本食レストランが9店舗もあるから驚きだ。

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今後の課題は接客サービスの向上

今後は生き残りをかけて各店舗とも一層切磋琢磨するだろう。では今の日本食レストランに何が求められるのだろうか。多店舗と差別化できる要因として「サービスの向上」を筆頭に挙げたい。バンコク日本食レストランであれば、店構えや料理の味、品揃え、鮮度など、十分に満足のいく食事を楽しむことができる。ところが毎回物足りない印象を抱えて店を後にするのは、この「サービス」が原因である。

幾つか例を挙げてみよう。タイ日本食レストランで食事をすると、次のような接客を目にすることになる。席に着くと早速注文を取りにテーブルに近づき、メニューを決めるまでじっとそばで待つ。次はお茶かお冷の出し方だ。並々とコップの縁まで注いで出してくれる。テーブルへの置き方も丁寧ではない。加えて量が少なくなるとすぐさまなみなみと注ぎ足してくれる。

料理のテーブルへの配置の仕方も重要だが、これもたいていの店は教育されていない。お椀は右、ご飯は左、おかずはその向こうだが、とにかく置いていく。時にはお椀の汁がこぼれていることもある。食事を楽しむ間、手の空いた店員は立ってこちらを凝視する光景はどこにでもあるだろう。そして食事が終わった器を片端から片づけていく。

これらの一連の店員の行動は文化の相違が生み出す独特の感覚で、タイ人の顧客にはなんら問題がない。しかし日本食レストランの店舗数が増加し続ける中にあって、差別化を図るには、やはり日本人の顧客の満足度に焦点を向けるべきではないかと思う。

上記に挙げた点は、すべて「おもてなし」の精神による日本人ならではの接客サービスである。注文のタイミング、お膳の配置、お茶を注ぐ前に「いかがですか」、器を片づける前に「よろしいですか」の一言、これらはすべて接客サービス教育への優先順位を各企業がどれほど上げるかであろう。ではタイ人に日本の精神を教育することは可能なのだろうか。

実は日系企業の工場では5Sを始めとし、日本の礼儀やマナーに関する教育がOJTを通して実施され、タイ人の間にも浸透しているのである。このようなわけで日本食レストランで働くタイ人の従業員に対しても、同様の教育を行う意義は多分にあるだろう。実はタイ人の多くが日本人の持つ礼儀作法やマナーに極めて深い関心と敬意を持っている。教育を実践することにより、日本食レストランがタイ人の間での新たな日本文化の発信地になることができるだろう。現状では接客サービスは横並びである。今こそ「おもてなし」の心を教育し、他店との差別化を図るべきチャンスではないかと思う。

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