クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第70弾 – トルコ 2012年05月08日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第70弾 – トルコ 2012年5月08日

新興国19カ国レポートについて

海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら

トルコ独自の自動車ブランド

ルノー、フォルクス・ワーゲン、トヨタと、トルコの街を行き交う車は日本人にも馴染みの深いメーカーばかりである。しかしこれらの自動車はほとんどトルコで現地生産されている。特にルノーはトルコで生産を開始してから既に40年以上が経過している。

1966年にトルコの大財閥コチが、「アナドル(Anadol)」という国産車をフォード社の技術援助を受けて生産開始したが、これは外国人の設計でエンジンもフォードのものだった。コチはまたフィアット社との合弁会社トファシュ社(Tofaş)を立ち上げ、「シャーヒン(鷹)」「カルタル(鷲)」といった鳥の名前をつけた自動車生産をしていたが、その後上記のような世界的ブランド車が生産されるようになると、国産ブランドは消滅してしまった。しかしこの半世紀で、トルコ自動車産業の大半の部品を現地生産するようになり、完成品を周辺諸国に輸出をするまでに成長していった。

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実力が備わった技術力

トルコのエルドアン首相は2011年、トルコの経済界で大きな発言力を持つトルコ産業実業家協会(Tüsiad)の大会でコチ財閥の名誉会長ラフミ・コチ氏らに呼びかけた。「もう貴方がたの名前がついた国産自動車を生産する時期が来ました。我々にも独自の自動車があるということを、世界に示そうじゃありませんか」。これを受けたコチ側は今年になって返答した。ブルサにある既存の工場に20万台生産能力を持つ設備を追加し、独自ブランド車の生産をすることを約束したのである。5億ユーロを投じ、年間2億台生産を目標とするこのプロジェクトでは、最初のプロトタイプを2013年に完成させ、2014年には発売する予定である。この計画については、フィアットおよびクライスラーのCEOであるセルジオ・マルキオンネ氏も、「今のトルコにはそれを成し遂げる実力が備わっている」と、太鼓判を押している。つい最近スウェーデンのサーブ(Saab)社が破産し、トルコ政府とコチ財閥に買収を要請したが拒否されたという。それはトルコ側には独自ブランド開発に乗り出す意向が既にあったためであろう。

気になる値段のほうであるが、2万から3万トルコリラ(約85万円から127万円)に設定すると、現在そのレンジで売られている2、3年の中古車の代わりにトルコブランド車を選択する人が増えるのではないか、という見通しが立てられている。

ひと昔前は、輸入物の品質がよく、国産のものはだめだというイメージがトルコ国民にあったが、現在はもう自国の技術に胸を張れる時代が来たようだ。

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