海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICs、NEXT11、VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら)
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2012年の年頭に、ブラジル経済がイギリスを追い越し、世界で6番目の経済規模に成長したとのニュースがブラジルのメディアを賑わした。旺盛な内需とコモディティ商品の輸出拡大、そして2014年のサッカーWカップ、2016年のオリンピックの二大メガイベントの追い風を受けて、大型投資プロジェクトが本格的に動き出した事がこの背景にある。主要都市では、いたる所でスタジアム、空港、道路、港湾などのインフラ工事が始まっており、一方、産業界においても、石油・ガス、鉄鋼業、化学、自動車、電気電子などの大型投資案件が目白押しである。 |
ブラジルの基幹産業の一つに成長した自動車産業
国内生産、販売は共に前年並み、輸入車が約二十万台30%の増加、輸出も10万台程度の増加、アルコール原料の高騰でフレックス車の割合が若干低下などの傾向が見て取れる。 2011年の生産と販売 |
メーカ別乗用車登録台数 |
●乗用車販売のトップ6は全て欧米系メーカーで占められ、この6社で乗用車市場の86%を占める。 |
海外利益送金のトップに踊り出る自動車会社各社ブラジルの乗用車は値段が高い割には型式が古く、また仕様装備も貧相と言われる。各種税金が支払い総額の約半分を占めており、現地生産されているカローラやシビックも、北米での価格の二倍が当たり前である。一方、一般大衆は、過去のインフレ経済に慣れてしまって、車の現金払い価格よりも、自分の所得と照らし合わせて、月々の支払い額が幾らになるかに関心があり、諸外国と比較して二倍の価格である事には余り関心がないのが実態である。 ところが、ブラジル中央銀行は2012年1月に自動車業界が昨年度、銀行や通信会社を抜いて最も多くの利益・配当を本国に送金したと発表した。その送金額56億ドルは、海外に送られた利益配当額全体の19%に相当し、前年と比較しても15億ドル増の36%アップとなり、メディアを中心に批判の声が上がっている。 近年、車の販売不振時に政府は工業製品税(平均8%)の時限減税措置を講じて、自動車メーカーを救済してきた。一方では、公表されている自動車業界全体の投資計画を見ると2015年までに260億ドルを投じて650万台体制を構築するとある。政府は自動車販売を通じて庶民から税金を吸い上げる一方、自動車メーカーは利益を蓄え、且つ本社に配当すると言う構図が見えてくる。 時代遅れの車を高く買わされているブラジルの消費者から見れば、たまらない話だ。望むらくは、一日も早く政府は各種の税金を引き下げ、自動車メーカーは利益を引き下げて世界標準の乗用車市場を形成する事である。 |
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ガバレッジ国 | 141 ヶ国 |
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エキスパート国籍 | 138 ヶ国 |
対応言語 | 340 言語 |
エキスパート | 14,369 名 |
海外提携企業 | 421 社 |