クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第81弾 – ブラジル 2012年10月3日

brazil

クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第81弾 – ブラジル 2012年10月3日

新興国19カ国レポートについて

海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら

ブラジルのアマゾン奥地で活躍する日系企業

ブラジルアマゾン州首都マナウス市が自由貿易地帯に制定されてから、今年で45年となる。全世界の真水の20%を占め、全長6千kmに及ぶ世界最長のアマゾン河。その河口ベレン市から1,500kmの中流域に、マナウス市は存在する。19世紀に天然ゴムの集積地として栄えたマナウスは、ゴムの東南アジアへのプランテーションに伴い20世紀初頭にかけて衰退の一途を辿ったが、自由貿易地帯に制定された後は、日系企業を中心とする積極的な投資により、製造加工業を中心に大きく発展している。マナウス市の人口は既に200万人を超え、近代都市へと大きく変貌を遂げると共に、産業分野から徴収する豊かな財源を基に、観光開発やアマゾン地域の環境保護にも積極的に取り組んでいる。

1.マナウス自由貿易地帯の工業部門の規模

brazil
出所:SUFRAMA

●工業部門の売り上げは400億ドルに迫り、各業種共に前年度を10~20%上回る基調にある。
●電気電子業界が全体売り上げの35%、二輪車が21%を占め、全体の半分以上を占める。
●月平均雇用者数は約12万人で重要な労働市場を形成している。

 

2.国別投資内訳

●2010年末までの累計投資残高は88.8億ドルで、この内50.2億ドル、57%が外国からの投資となっている。
●外国投資の中で、日本からの投資は24.2億ドルと約半分を占め、日本企業の地域社会に於ける存在感は極めて大きい。

brazil
マナウス市街
手前の建物が19世紀末に建設された
テアトロ・アマゾナス

3.主な日系進出企業

●1973年にサンヨー電気がテレビの組み立てを始め、その後、東芝、パナソニック、ソニー、パイオニア、日立エアコンなど相次いで進出、韓国、フィンランド勢等の電気電子業界も参入して、主に、テレビ(250万台)、携帯電話(2250万台)LCD画面(1000万個)、エアコン(250万台)等。
●1976年にホンダが二輪車製造で進出、その後同社の系列メーカーや、ヤマハ、スズキ、カワサキも進出し、一大二輪車生産拠点に成長した。因みに2011年の二輪車生産台数は200万台に達したと見られる。
●時計、写真、複写機、製薬業界や、商業・サービス部門にも日系企業の進出が見られる。
●市内には、日本人学校、日本商工会議所、そして、日本食レストランも数件あり、家族連れで赴任する駐在員も増えており、生活環境は大幅に改善している。

4.主な税制恩典

マナウスで工業製品を生産する場合の最大のメリットは、各種税金の減免措置であり、ブラジル南部主要市場への高い製品物流コストを考慮してもマナウスで生産する価値は、此処にある。
●主な税制恩典;
・生産用KD部品、原材料の輸入税(連邦税);ゼロ。
・生産された商品に対する工業製品税(連邦税);ゼロ。
・販売時に掛かる消費税(州税);商品に応じて減免措置あり、州政府税務局と個別交渉。

100年以上に亘る移民の歴史を経て独特の親善関係を築いて来たブラジルと日本、そして、アマゾンの奥地で様々な困難を克服しながら、地域社会の発展に貢献している日本企業の今後の更なる活躍に期待したい。

brazil
2011年11月に完成した
マナウス市と対岸を結ぶ
4キロの橋

ブラジルへの進出支援、販路開拓、市場調査、ブラジル人アンケート調査ポルトガル語翻訳・通訳の御問い合わせはこちらまで


ページの先頭へ