クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第96弾 – UAE:アラブ首長国連邦 2013年06月14日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第96弾 – UAE 2013年06月14日

新興国19カ国レポートについて

海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら

ドバイ首長国(UAE:アラブ首長国連邦)における飲料水事情

UAEの水の供給

UAE:アラブ首長国連邦の気候は、秋冬の11月から3月にかけては、高温となっても30度くらいであり、しかも乾燥しているので非常に過ごしやすい。ところが4月以降は、一気に夏のように気温が上がる。特に7月から9月にかけては、最低気温でも摂氏35度、最高気温は摂氏50度ほどまで上がる。また年間を通して降水量は限りなくゼロに近く、水はとても貴重な存在である。
ここUAEの主な水源といえば海水である。この海水を処理施設で真水にし(海水淡水化)、水道水として各家庭に送る。この海水淡水化の方法として、「多段フラッシュ方式」が用いられている。多段フラッシュ方式は、日本の工業用水を作り出すために使われ、経済的なことで知られる「逆浸透法」とは違い、多大なエネルギーを必要とする。4月にも、ドバイ首長国では新たに海水淡水化処理施設が開設された。DEWA(Dubai Electricity and Water Authority=ドバイ首長国電気水道局)は、2020年までのドバイ首長国で賄う水は確保できたとしている。

飲料水について

水道水の供給は確保できたとしても、人々の水道水に対する飲料用途としての安心感はまだまだ薄い。行政側は、水質に関して国際基準・国の基準のいずれも満たしているとし、一部の地域でも実際にテストが行われ、水道水を飲料水として利用することに問題は無いという見解を出している。しかし、水道管や供給用一時貯蔵タンクの衛生管理には、地域や場所によってばらつきがあり、実際に飲料に使ってもいいという見解が出された後も、水中の細菌が原因で体調不良を訴えるケースもあるという。
現在、ここドバイでもペットボトル入りの水が売られているのをよく見かける。比較的富裕層の多いこの国では、国内産のみならず外国から輸入されたミネラルウォーターがよく売れている。日本でもおなじみのヨーロッパ産天然ミネラルウォーターは、国内産のミネラルウォーターに比べ、人体に必要なカルシウムなどの鉱物の含有量が高いとして、非常に高価格であるにもかかわらず、とても高い人気がある。

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輸入ミネラルウォーターは、500ミリリットル1本あたり3.5~4UAEディルハム(約100~115円。100円=3.5UAEディルハム換算)である。国産ミネラルウォーターのペットボトルの水も決して安いわけではなく、国内産は500ミリリットル1本がおよそ0.80UAEディルハム(約23円)、1.5リットルであれば、それぞれその2倍ほどの値段になる。また、定期的に宅配される5ガロン(18.9リットル)入りの大きなプラスチックボトルを給水器に取り付けるという方法もあるが、これもペットボトルほどではないにしても、1ボトル8~10UAEディルハム(約230~286円)かかる。例えば、大人2人と子供2人、4人の給仕のいる家庭では、その5ガロンは2日ほどで消費してしまう。ひと月でおよそ15本の消費とすると、飲料水だけで120~150UAEディルハム(約3430~4285円)となる。それでも、高い衛生管理の下でパックされたプラスチック容器の飲料水に人気が集中する。

浄水器の普及について

また、さほど多くはないが浄水器を使う家庭も存在する。1器あたり、1,600~2,000UAEディルハム(約45,700円~57,000円)くらいのものが多く、浄水器としては決して高価格ではない。しかし、蛇口から出る水をそのまま飲むという習慣が元々無いこの国では、よほどの安全性が証明されない限り受け入れは難しく、なかなか普及には至っていないようである。

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