
クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第100弾 – トルコ 2013年08月29日
新興国19カ国レポートについて
海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICs、NEXT11、VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら)
トルコのお茶事情
今でこそ「国民的飲料」となったトルコの紅茶「チャイ」だが、その歴史は意外に新しい。19世紀末、当時のスルタン・アブドゥルハミッドII世によって中国から種が輸入されたのが始まりとされている。それまでオスマン朝ではコーヒーが主に飲まれていたが、スルタン・アブドゥルハミッドはオスマン朝の近代化を推し進めており、これまで国内になかった農産物を次々にオスマン朝の土地で栽培しようとしていた。第一次世界大戦に破れ、祖国解放戦争で国の滅亡は逃れたものの、これまでコーヒーの供給先だったイェメンは独立してもう外国になってしまった。それでチャイがますます飲まれるようになった。現在トルコは一人あたり年間紅茶消費量2.3kgで、世界4番目である。
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トルコ最大の紅茶生産社の投資
現在国内シェア60%を誇る、トルコ最大のチャイ生産社である「チャイクル(Çaykur)社」は、昨年だけで115万トンのチャイを生産し、150億リラの売り上げを上げている。今年はその生産量を10%拡大するのが目標だ。そこでトルコのお茶どころ、黒海沿岸のリゼの工場に1億リラを投資して、「ツーリスティック新工場」を建設することを発表した。「ツーリスティック」というのは、リゼを単なるお茶どころとしてではなく、観光地にするためである。建設予定の新工場は、観光客が見学できるようにする予定である。そうしてリゼへの観光客誘致を図るという。
建設予定の新工場では、最近トルコで人気の緑茶の他、アイスティーやフレーバーティーなどの清涼飲料も生産する。国内への販売のほか、これまでシンガポール、韓国、オーストラリア、中国、サウジアラビアに輸出をしてきたが、今後はロシア、バルカン諸国、東ヨーロッパ、中央アジア諸国にまで販売網を広げ、共和国建国100周年にあたる2023年のマスタープランにも沿って、50万トンを輸出することが目標となっている。
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世界のトレンドに合わせた戦略
また、チャイクル社はオーガニック製品にも力を入れており、現在88の村の2万985件の生産者たちと契約し、畑のオーガニック化を進めている。リゼは紅茶の生産場所としては珍しく、冬は寒く雪が降ることもあるので、その間に害虫も死んでしまう。そのため、温暖な気候の生産地よりもオーガニック栽培がしやすい。チャイクル社は世界最大のオーガニック・ティー生産量を目指しており、3年後には9千万平方メートル面積をオーガニック化する予定である。
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