クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート 第101弾 – タイ 2013年08月29日

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クロスインデックス現地調査員による新興国19カ国レポート
第101弾 – タイ 2013年08月29日

新興国19カ国レポートについて

海外調査や海外進出、海外出張などを検討しておられる企業の方々を対象に、クロスインデックスの現地調査員からの情報を元に掲載しております。
BRICsNEXT11VISTAなどのキーワードで取り上げられ、注目されている新興国のうち、中国、韓国、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インド、バングラデッシュ、パキスタン、ロシア、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、UAE、エジプト、トルコ、南アフリカ、ナイジェリアなどの国々を対象としております。(国別レポート一覧はこちら

高速鉄道が後押しするタイの建設市場

タイ建設市場は今年も盛況である。タイの大手リサーチ会社であるカシコンリサーチセンターによると、2013年の建設市場規模は1兆250億~1兆475億バーツと予測されている。これは前年比にして12.8%の増加である。尚、公共事業と民間事業の割合は45%対55%である。一方、建設資材の市場規模予測は2,128億バーツである。タイ政府は今年、2兆バーツの大型インフラ投資計画を発表した。計画の中心は高速鉄道である。建設が始まるのは2014年以降であるが、高速鉄道による建設需要の高まりは必然的で日本のメーカーが参入するチャンスでもある。そこで高速鉄道計画の現状をおおまかに述べてみたいと思う。

タイの高速鉄道導入方式

タイの高速鉄道の導入はターンキー契約ではなく、鉄道システムと建設業を分離した方式である。平たく言えば鉄道システムが中国式であっても、建設業は日本のゼネコンが受注することが可能だ。最初の段階として、鉄道システムが2013年の9月ないしは10月に確定する。この方式について運輸省運輸交通政策計画局(Office of Transportation and Traffic Policy and  Planning, Ministry of Transportation:OTP)局長のジュラー氏は次のように述べている。「例えば日本の新幹線方式が採用されることになる場合、車両は日本のメーカーを採用することになるが、各サプライヤーは入札によって決められる。また50年のメンテナンス業務や建設業も入札が実施される。」

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タイ市場参入の好機

現在タイ全土に4路線の建設計画が立てられており、その概要はOTPの高速鉄道専用ウェブサイトにアップされている。最初のフェーズは北部路線のバンコクピサヌローク間の382㎞で予算は1,932 億バーツが計上されている。今年の秋に日本、中国、ヨーロッパの各システムのいずれかが確定し、2014年の6月に建設入札が行われる予定である。タイの大手ゼネコン上位10社のうち公共インフラ、とりわけ交通関係のインフラに実績があるのはITALIAN-THAI DEVELOPMENT社、CH. KARNCHAN社、SINO-THA社のゼネコン上位3社である。いずれも高速鉄道の建設需要を見込んで既に社内の態勢を整えている。加えて共同体(JV)による入札を目指すべく海外メーカーから各社へのアプローチも始まっているようだ。方式が決まっていないため、ゼネコン各社とも建設仕様や資材スペックの確定はできていないが、日本の資材メーカーや建設機器サプライヤーが新規でタイ市場に参入する決定的な機会であろう。

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